百貨店の消費動向から見える景気動向はどうなっているのか

2014年07月28日 11:51

画像・百貨店の消費動向から見える景気動向はどうなっているのか

7月18日、日本百貨店協会より6月の全国百貨店売上高概況が発表された。発表内容によると売上総額は、4,884億円で、前年同月比マイナス4.6%だったが、前々年同月比プラス1.6%となっており、全体的な傾向としては回復傾向にある。  

 7月18日、日本百貨店協会より6月の全国百貨店売上高概況が発表された。発表内容によると売上総額は、4,884億円で、前年同月比マイナス4.6%だったが、前々年同月比プラス1.6%となっており、全体的な傾向としては回復傾向にある。
 
 本協会の分析によると、消費者の付加価値思考の高まりや夏の賞与への期待感を背景に各店舗において積極的な販売促進を展開したが、週末が昨年と比較して一日減少したこと、大雨による天候不順などにより、伸び悩んだとしている。商品別としては、衣料品などのファッション関係の消費動向が減少(前年同月比マイナス6.4%)の一方で、化粧品や宝飾・貴金属関連が、やや回復を見せていることが分かった。

 一方、日銀が7月1日に発表した景気短観によると、製造業、非製造業ともに、景気に対してそれほど良くはないと分析している企業が7割以上と、先行きにやや不安を覚えている。特に百貨店関連が含まれる小売業においては、消費増税前の景気短観と比較しても3割以上にあたる企業が景気の先行きに不透明感を覚えている結果となった。この数値は、全製造業、非製造業の中で最も大幅に下落しており、消費者の購買意欲が売り上げに直結している小売業において、消費税増税の影響が出てきているのは明らかである。

 今年12月に政府により更なる消費税増税が決定されるが、駆け込み需要による一時的な売上げ増と、その後の反動減による景気への影響を政策としてどのように対応していくかが、鍵となるだろう。百貨店協会の調査でも食料品に対する需要は横ばいと堅調を続けており、政府が導入しようとする生活必需品への消費税増税の減税策は、根本的な景気回復にはつながらないのではないだろうか。消費者の購買意欲、つまり可処分所得を生活必需品以外に回すためには、消費者の景気に対する先行きの不透明感を払しょくするだけの根本的な政策が求められる。

 アベノミクスにより、ちまたでは賞与や給与が上がってきているという話をよく耳にするが、消費者はやはり景気に対して敏感である。百貨店が取り扱う、ブランド品などの生活必需品以外の需要の伸びに消費者の購買意欲が出てくるためには、もう少し時間がかかるだろう。12月に決定される更なる消費増税は、表面だけの政策によるものではなく真の景気回復へつながる決定になることを期待したい。(編集担当:久保田雄城)