育児休業希望の男性をパタハラで妨害? 取得率は1~2%台で低迷

2014年08月02日 11:56

画像・育児休業希望の男性をパタハラで妨害? 取得率は1~2%台で低迷

ライフネット生命保険の調査によると、育児休業取得を希望する男性は63.6%にも上る。しかし実際に育児休業を取得しているのは1~2%程度。その上取得期間は短期のものがほとんどで、8割以上が数日~1か月未満という短い期間にとどまっている。

 妊娠した女性社員に対していやがらせを行うことや退職を促す行為を「マタニティハラスメント」と呼ぶが、子どもを持つ男性社員に対する「パタニティハラスメント」はご存知だろうか。パタニティ(paternity)とは父性を意味する。パタニティハラスメントとは、マタニティハラスメントと同様、男性社員が育児休業を取ったり、短時間勤務やフレックス勤務を希望したとき、会社や上司などがその権利を妨害したり、嫌がらせや暴言を投げつけたりすることを指す。

 厚生労働省が発表する「雇用均等基本調査」によると、2013年度の女性の育児休業取得率は76.3%であるのに対し、男性は2.03%となっている。女性の育児休業取得率は1996年には49.1%だったが、その後取得率は順調に伸びて行き、2002年で64.0%、さらに、07年には89.7%を記録し、その後も80%を超える高い割合で推移している。女性の社会進出に伴い、育児と仕事の両立のために会社が協力体制を整え、社会にも認識が浸透していることが伺える。一方、男性の育児休業取得率を見ると1996年は0.12%、2002年で0.33%、07年で1.56%、11年には2.63%にまで伸びたが12年には1.89%に低下した。その上、男性の育児休業取得期間は、短期のものがほとんどである。12年に育児休業を取得した男性のうち、81.3%が1か月未満という短い期間だった。中にはわずか数日のみという人も含まれている。

 13年にライフネット生命保険が有職者の既婚男女1,000人に行った調査によると、育児休業を取得したいと希望する男性は63.6%にも上った。しかし、勤務先には男性が育児休業を取得できる雰囲気がないと答える人が76.4%となり、男性の育児休業を受け入れない会社が多くあることを伺わせる。

 日本労働組合総合連合会はパタニティハラスメントに関する調査を13年に実施し、育児に関わる男性525人中、11.6%が会社でパタニティハラスメントを受けたと答えた。パタハラの内容は、子育てのための制度利用の妨害が5.5%、制度利用の申請時の暴言が3.5%、制度利用を受けたことによるいやがらせが1.9%となった。男性の育児参加は女性の雇用促進を支え、経済の活性化にも繋がる。男性も気兼ねなく育児休業を取得できるよう、会社が対策をとることも必要だろう。(編集担当:久保田雄城)