外国人の住民投票参加は認めるべきか 自民党が地方組織に対応を指示

2014年08月06日 08:18

画像・外国人の住民投票参加は認めるべきか 自民党が地方組織に対応を指示

日本における外国人人口は、労働力不足などを背景に年々増加している。外国人の増加とともに議論となっているのが、民主党政権下で付与が検討された「外国人参政権」だが、その地方版ともいえるある条例に対し、自民党が対応を地方組織に指示していたことがわかった。

 日本における外国人人口は、労働力不足などを背景に年々増加している。外国人の増加とともに議論となっているのが、彼らに政治への参加を認めるかどうかだ。民主党政権下で付与が検討され大きな議論を呼んだこの「外国人参政権」だが、その地方版ともいえるある条例に対し、自民党が対応を地方組織に指示していたことがわかった。

 その条例は「自治基本条例」。これは「自治体の憲法」とも呼ばれる自治体運営の基本方針を定めた条例で、既に300以上の自治体で制定されている。問題となっているのは、この中で外国人の住民参加を認める自治体が次々と生まれていることだ。首都圏では東京都三鷹市や神奈川県川崎市、同逗子市、千葉県我孫子市などが居住実績などの条件を満たした外国人に住民投票への参加を条例で認めている。

 自民党は以前から地方レベルでの外国人への参政権付与につながる自治基本条例に反対してきた。外国人への住民投票参加を認める条例の制定が目立ち始めると、自民党は「チョット待て!! “自治基本条例”~つくるべきかどうか、もう一度考えよう~」という冊子を配布している。この冊子で同党は自治基本条例が「パターン化しており組織的動きがあることが懸念される」「国家より市民に重きを置き地方自治にかかわる国の責任を曖昧にしている」などと批判をしている。6月18日付で地方組織に出された文書は自治基本条例制定への慎重な対応を求めているが、これについて石破茂幹事長は29日の記者会見で、「日本国の納税者全体の利益ということを考えていかなければならない。地方であるから何をやっても良いことにはならない」とし、制定の動きに苦言を呈している。

 自治基本条例は本来住民が政治参加することでよりよい自治体づくりを目指すものだ。そして、外国人も「住民」であれば意見を聞く意義はあるという意見にも一理ある。しかし、同条例は外国人参政権の「代替制度」として利用される危険があり、外国人の影響が強まる危険性が高いこともまた事実だ。外国人の住民の意見を取り入れるのに、その他の住民とともに住民投票をするしか方法がないわけではない。専門の会議を設けるなど、様々な制度が考えられるだろう。外国人にとってもその他の住民にとっても良い制度は何か、より慎重に制度を検討していくべきだろう。(編集担当:久保田雄城)