西日本を中心にPM2.5による大気汚染が深刻化している。YKK APでは豪雪地帯向けのサンルームなどがPM2.5対策に活用され、九州で7割増、関西で6割増と売り上げを伸ばしている。大和ハウス工業は微粒子を99.97%以上除去できる医療用フィルターを住宅に採用。順調に売り上げを伸ばしている。
PM2.5に対応した住宅の販売が伸びている。YKK APでは北陸などの豪雪地帯に向けたサンルームなどの商品が、PM2.5の被害の大きい九州や関西で受注数が大幅に増加。ベランダなどを丸ごと囲い、外気の侵入を防いだ環境で洗濯物を干すことができる「サンフィールIII」の出荷数は2013年度で前年度比約4割増という勢いだ。中でも九州は7割増、関西でも6割増となっている。YKK APは需要の高まりを受けて商品のラインナップを増やし、今後もさらなる受注の拡大を目指す方針だ。
大和ハウス工業<1925>では『換気浄化「ef(イーエフ・excellent fresh)」』の販売が13年は前年から6倍に伸びた。病院の集中治療室やクリーンルームなどにも使用されている高性能「HEPAフィルター」を天井に設置し、たばこの煙に値する0.3マイクロメートルの微粒子でも99.97%以上除去することができる。大和ハウス工業は『 換気浄化「ef」』を13年5月9日~7月31日の期間限定で、子どもや高齢者がいる家庭の新築契約者を対象に、無料で設置する「空気割」キャンペーンを実施して認知を広めた。PM2.5以外にも花粉やハウスダストにも対応することができるため、子どものアレルギーなどを心配する家庭では好評を得ている。
PM2.5は大気汚染物質のひとつであるとみなされる、直径 2.5マイクロメートル以下の微小粒子だ。工場から発生するばい煙や自動車の排気ガスが原因とされており、肺の奥深くまで入り込んで呼吸器系や循環器系に悪影響を及ぼす。環境省は PM2.5 の対策として1999年から「微小粒子状物質曝露影響調査」を実施。以来、国内では排ガスの規制に取り組むなどしてPM2.5質量濃度の平均値は減少傾向にある。
しかし2013年頃から中国の北京市を中心に大規模な大気汚染が発生するようになり、日本にも影響を与えている。特に西日本では環境基準値を超える PM2.5が観測され、洗濯物を外に干すことさえできないという地域もある。福岡県では13年3月9日から、環境省の目安に従って日平均値70マイクログラム/立方メートルを超えると予測される場合には注意喚起を行い、外出を避けるようにすることや、窓を閉め外気の侵入を抑えることを促すようにしている。PM2.5の飛散時期は冬から春にかけてだと言われているが、今年7月25日には北海道各地において、ロシアで起きた大火災が原因でPM2.5の濃度が急上昇するという事態が起こった。豊平区月寒中央では1時間平均値が155マイクログラム/立方メートルを記録。日本全土でPM2.5への警戒が進む中、空気対策への需要は今後も膨らんでいくことが予測される。(編集担当:久保田雄城)