地域活性化に貢献する経営塾とは

2014年08月16日 14:14

 2014年7月25日に政府が閣議了解した2015年度予算編成の概算要求基準案では、4兆円規模の「新しい日本のための優先課題推進枠」が特別枠として設けられている。これは安倍内閣が推し進める一連の経済政策の中でもとくに、地方活性化や成長戦略の実現に向けた取り組みに対して重点的に予算を配分するためのものとみられる。

 地域活性化の妨げになるのが、地域の過疎化だ。わが国は超高齢化社会に突入しているが、過疎化によって慢性的な人材不足に陥り、大きなダメージを受けている地域経済は少なくない。多額の税金を投入し、借金してまでも地域の活性化を図る必要性を問う声もあるが、この状況がさらに進むと、日本経済全体にとってそれ以上に深刻なマイナスをもたらすことになるだろう。

 中でも近ごろ問題となっているのが、建設現場の人材不足だ。消費増税の駆け込み需要に加え、東日本大震災の復興や東京オリンピック関連の建設事業で人手が取られてしまい、地域の建設現場では技術者の確保に頭を悩ませているところが増えている。貴重な人材の流出を防いで、地域の建築市場が活性化するためには、何よりもまず、地元での安定した受注が必要となる。しかしながら、資本力の高い大手ハウスメーカーはともかく、地方工務店が安定した受注を確保することは、なかなか難しいのが現状だ。

 そんな中、株式会社アキュラホームが主宰する日本最大級の工務店ネットワーク「ジャーブネット」が、工務店専門の経営塾「新生ビルダー塾」を新設し、話題となっている。この経営塾は「日本の家づくりを変える」をミッションに掲げ、全国で40棟以上の住宅供給実績のある優良ビルダーを対象に選抜されるもので、参加企業はアキュラホームのサポートを受け、経営相談や経営計画に基づいた体制強化支援、共同研究、商品開発、プロモーション、仕入れ、研修など、目標達成に向けた実践的な活動を行い、年間100棟の完工、営業利益1億円を目標に、安定経営の仕組みをつくることを目指すという。

 同社ではこれに先駆け、2011年から地域の優良ビルダーになることを目指す「永代ビルダー塾」を開設しており、年間30棟、売上6億、経常利益6千万円を目標として活動しており、成果を上げている。今回の「新生ビルダー塾」は、その第二段階のステップになる。

 地域が活性化するためにはやはり、住宅業界だけに限らず、安心して働ける職場があり、安定した収入が確保できることが大前提だろう。しかし、地域に根ざした地元の企業でも、1社だけでは生き残っていくことすら困難な時代だ。ジャーブネットのようなフランチャイズとは違うネットワークを利用した戦略は、他の業種、業態でも、中小の企業にとって大いに参考になるのではないだろうか。(編集担当:藤原伊織)