国土交通省の交通政策審議会、観光分科会が7月8日に「2020年に向けて、2000万人の高みを目指すための観光政策」をとりまとめた。これは、20年を目標年次として、訪日外国人旅行者数の目標2000万人を達成するための取り組むべき施策を示したものだ。
国土交通省の交通政策審議会、観光分科会が7月8日に「2020年に向けて、2000万人の高みを目指すための観光政策」をとりまとめた。これは、20年を目標年次として、訪日外国人旅行者数の目標2000万人を達成するための取り組むべき施策を示したものだ。
13年の訪日外国人旅行者数は1036万人と、03年のビジット・ジャパン事業開始以来、初めて年間1000万人の目標を達成した。 しかし、今のところ、日本の外国人旅行受け入れ人数は12年で世界33位である。そうした状況を踏まえると、従来の努力を継続していったとしても、20年に約1700万人程度と予測される。そのため、「訪日プロモーションの拡大および強化」、「ビザ発給要件の更なる戦略的緩和」、「国際航空ネットワークの拡充と運賃提言の促進」、「交通機関や宿泊施設の供給能力の向上」「外国人旅行者の受け入れ環境の整備」、「世界に通用する魅力ある観光地域づくり」といった取り組みを総動員することによって、2000万人を目指すための目標と施策が提言された。
訪日外国人旅行者による消費額は1.3兆円にも上る。1人1回あたりの消費額で見ると、訪日外国人旅行者の消費額は約13万円と日本人宿泊旅行者の3倍である。つまり、お金を使ってくれる大事なお客様というわけだ。
具体的には、第一に、東南アジアへの集中的なプロモーションの必要性が強調されている。第二に、国際航空ネットワークの拡充として、アセアン(ASEAN)諸国との多国間航空協定の締結やオープンスカイの戦略的な推進で、未就航の国・地域から日本各地の空港への路線展開を促進することが記載されている。さらに、日本の食事や買い物に対する関心を基に、ビザ発給の緩和をさらにすすめていくことも提言されている。これは、13年7月に実施したタイ、マレーシアに対するビザ発給要件の緩和によって、高い効果が得られたことがその理由である。14年に入ってからも1~4月の対前年同月比で、タイが65%、マレーシアが64%と増加している。
しかし、ひとつ疑問がある。今回、ビザ発給要件の更なる緩和による影響(たとえば不法入国者が増加)など、施策がもたらす負の側面も視野にいれないでよいのだろうか。(編集担当:久保田雄城)