前週は「4~6月期GDPが悪化して大台割れ」という懸念された事態も回避され、曲がりなりにも5戦全勝して454円安の全値戻しも果たしたから、「あの日の昼下がりの出来事」は、もう忘れてもいいはずだ。
日経平均の15日終値15318円のテクニカルポジションを確認すると、25日移動平均線15331円が13円上にあるが、それ以外の移動平均線は5日線(15227円)も75日線(14998円)も200日線(14972円)も下に位置する。8日の時点では移動平均線は全て上にあり、まるで井戸の底に落ちたような状態だった。その時は6月、7月の「まぼろしのSQ値」も歯止めにならなかったが、15日にはそれぞれ234円、511円、下に見下ろしている。日足一目均衡表の「雲」は、前週のうちに完全にそこを抜け出して上に出た。ただし今週以降は雲の位置がどんどんずり上がってくることに注意したい。
8日にはボリンジャーバンドの25日移動平均線-3σ(第3標準偏差)を下回るというめったに見られないポジションにあったが、15日は25日線+1σと-1σの間というごくありきたりなポジション。しかも25日移動平均線乖離率は-0.08%、騰落レシオは8月4日以来の3ケタ台に乗せて101.4で、8日は1ケタまで落ちていたストキャスティクスの9日Fastは66.50まで増加という、売られすぎでも買われすぎでもない「ニュートラル」なオシレーター指標になっている。それは、日経平均はまだ上昇する余地を残していることを意味している。
では今週、どこまで上昇できるのだろうか? 一つのメドになりそうなのが15516円に位置するボリンジャーバンドの25日線+1σ(第1標準偏差)である。というのは3週間前の7月最終週(7月28日~8月1日)にはこのラインを超えて終値で15500、15600円台をずっとキープしていたからである。
今週は、ジャクソンホールのイエレンFRB議長の講演が東京では22日金曜日の大引け後で、いわば「ジャクソンホール待ち」の週。決算発表シーズンは完全に終了し、日経平均を大きく動かしそうな経済指標の発表や国内外のイベントも見当たらないので、薄商いの「閑散に売りなし」で、15331円の25日移動平均線を突破してザラ場中に15500円にタッチする局面が一度はあるとみる。
しかし、ウクライナやイラクやパレスチナで地政学的リスクがまだまだくすぶっていることも考慮する必要がある。8日ほどひどくはなくても今週、軍事行動にからんだリスクオフで株価が下落する局面もあると思ったほうがいいだろう。安全保障の専門家でもなければ予測がつかないだけに、怖い。
今週の軍事ではなく日経平均の下値の防衛線を考える時、15216円の日足一目均衡表の「雲」の上限、15145円のボリンジャーバンドの25日線-1σをもし突破されたとしても、その下には15000円をはさんで上下64円のレンジに、「まぼろし」にはならなかったが8月SQ値の15036円、75日移動平均線の14998円、200日移動平均線の14972円という「下値サポート三銃士」が待ち構えている。毛利元就公ではないがこの三本の矢が束になったら強いはず。
ということで、今週の日経平均終値の変動レンジは15000~15500円とみる。それにしても、経済が専門のエコノミストの人たちに専門外の安全保障にからんだ地政学的リスクの見通しを語らせている状況はこの先、いつまで続くのだろうか?(編集担当:寺尾淳)