品質が低いのは法律がないから? 「ワイン法」で日本のワインは世界へ広がるか

2014年08月20日 20:36

 世界で賞賛されている日本のお酒―その輸出量は近年大きく伸びている。日本の酒の代表はやはり「日本酒」だが、日本で生産されている素晴らしい酒は日本酒だけではないことは私たち日本人が一番良く知っているだろう。自民党が今、日本の酒の世界での認知をさらに高めるため、一つの法律を検討している。それが、「ワイン法」だ。日本のワインはこれまで定義があいまいで「品質が低い」というレッテルを貼られ続けてきたが、それを払拭することがワイン法制定の第一の目的だ。

 ワイン法とはワインやブドウの生産地や醸造法などを定めた法律で、ヨーロッパの主要なワイン生産国のほかアメリカやチリ、アルゼンチンなどの新興ワイン生産国でも制定されている。これにより有名な「ボルドー」や「ブルゴーニュ」はその名前自体がブランドとして保護されている。それに対して日本にはワインの産地や品質の証明に特化した法律はなく、酒税法ではワインが「果実酒」と規定されてきた。酒税法に従えば、輸入ブドウが原料でも国内で醸造すれば「国産ワイン」となるばかりか、ブドウ以外の果実を使うことも許される。

 産地認定や品質証明のない現状が日本ワインの世界への進出を阻んでいると考えた自民党は、実際には品質が高い日本のワインの輸出を進めるため、主要なワイン生産国が定めているようなワイン法の制定により品質の保証を行おうとしている。今年の春には安倍晋三首相の側近である世耕弘成官房副長官を代表とした「ワイン法制に関する勉強会」を発足させており、この勉強会で関係省庁からのヒアリングを進め、議員立法で法案を提出する予定だ。

 しかし、ワイン法の制定だけで日本のワインの世界進出が容易になるわけではない。日本では問題があるとすぐに「法律が悪い」「制度が悪い」という議論になりがちだが、それだけで問題が解決しないことは言うまでもない。「甲州」の例のようにすでに世界の市場でも戦い抜いている日本ワインもある。必要なのはワイン生産者を後押しすることだ。ワイン法制定が生産者とともに歩むものになることを期待したい。(編集担当:久保田雄城)