【日経平均】約5年11ヵ月ぶりの円安でも結局7.5円安

2014年09月05日 20:23

 輸送用機器セクターは業種別騰落率トップ。自動車大手はトヨタ<7203>は28円高。4代目「ロードスター」を公開したマツダ<7261>は7円高。三菱自動車<7211>は3円高。しかしホンダ<7267>は0.5円安。日産<7201>は前日、「マーチ」「ノート」「ラティオ」の合計11万5774台のリコールを発表して3円安だった。電気機器セクターも業種別騰落率3位だったが、東芝<6502>は4.9円高、日立<6501>は2.6円高、富士通<6702>は0.7円高だったがパナソニック<6752>とシャープ<6753>は値動きなし、NEC<6701>は水漏れを遠隔検知するシステムを開発というニュースがあったが3円安、ソニー<6758>は40円安。トレンドマイクロ<4704>はメリルリンチがレーティングを引き上げて80円高だった。

 関西電力<9503>は70年代に完成した美浜原発1、2号機の廃炉の検討に入ったと報じられ2.5円高。福井県や美浜町と具体的な協議に入る。政府は再稼働への理解を求めるために電力各社に老朽原発の整理計画を年内に決めるよう求めている。北海道電力<9508>は冬のボーナスの支給を見送る方針を固めて4円安。泊原発の再稼働のメドが立たず今期の4期連続最終赤字を避けるため電気料金再値上げを7月に申請したのに伴う措置。

 新日鐵住金<5401>は事故が起きた名古屋製鉄所の操業を近く再開すると報じられたが1.2円安で3日続落。何度も事故を起こして、かつて作家の佐木隆三氏が小説の中で描いた誇り高き鉄鋼マンはどこに行ったのか? 名村造船所<7014>は49円高で値上がり率6位。10月にその完全子会社になり26日で上場廃止になる佐世保重工<7007>は8円高で同4位。造船業は円安メリットが出る業種。連騰が続いた古河電池<6937>はさすがにこの日は利食い売りされて137円安で値下がり率1位だった。

 積水ハウス<1928>は2~7月期中間決算を発表。通期見通しを売上高は400億円、純利益は30億円下方修正したが、中間期は営業利益28.7%増、経常利益30.5%増、純利益23.9%増で5期連続増益と好調で28.5円高。一棟単価が上昇し粗利率、営業利益率が改善するなど業績の中身が良い。稲葉製作所<3421>は大型倉庫が好調で7月期の純利益が6割増という業績観測で38円高。

 ユニ・チャーム<8113>は中国で高級品の紙おむつを発売すると報じられ30円高。武田薬品<4502>がアメリカで販売した糖尿病治療薬「アクトス」をめぐる製造物責任訴訟で、ルイジアナ州の連邦地裁は60億ドルの賠償金支払いを命じる陪審員評決を支持する判決を下した。武田は再審理や大幅減額を求めているが15.5円安だった。

 福岡市で開かれた中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)小委員会が閉幕し、日本近海を含む北太平洋海域でクロマグロの30キロ未満の未成魚の漁獲枠半減で日本、アメリカ、韓国などが合意した。2015年から実施される。水産大手の日本水産<1332>は値動きなし、マルハニチロ<1333>は1円高。近畿大学と組んで養殖マグロの販路を開拓する豊田通商<8015>は21円安。

 ヤマトHDはUBSがレーティングを引き下げて60円安。東京ドーム<9681>は1月期通期見通しを営業利益は89億円から95億円に、経常利益は63億円から73億円に上方修正し16円高。巨人軍が広島、阪神と優勝争いを繰りひろげ観客動員が増え、2~7月期の業績が計画を上回ったおかげ。首位を独走されたら面白くない。カラオケ店や介護事業を営む東証2部のウチヤマHD<6059>は11日付の東証1部指定替えを承認された。東証1部指定記念配当を実施し中間配当の予想を5円から6円に増額して26円高。

 ネット・コンテンツ関連では、コロプラ<3668>は売買代金11位で95円高。スクエニHD<9684>は83円高で値上がり率12位。サイバーエージェント<4751>は東証1部昇格第1日だったが150円安で値下がり率12位と新入生に手荒な歓迎。同じ日の1部新入生の建設資材商社の橋本総業<7570>が60円高で値上がり率7位に入ったのとは対照的だった。

 この日の主役は新興市場。日経ジャスダック平均は0.08%下落したが東証マザーズ指数は0.36%上昇した。大泉製作所<6618>は140円の大幅高。ミクシィ<2121>はプラスとマイナスの間を行ったり来たりした末に50円高で終えたが、創薬ベンチャーのそーせいG<4565>はストップ高の700円高、トレックスセミコンダクタ<6616>もストップ高の1000円高。メディアシーク<4824>は、7月期の業績見通しを最終赤字転落に下方修正するとストップ安比例配分の150円安で、出来たのは3万株だけ。こうしたメリハリの良さが新興市場の持ち味で、だからこそ個人投資家に愛されるのだろう。(編集担当:寺尾淳)