入院時に患者が支払う食費を、1食当たり260円から460円に引き上げるという案を厚生労働省が提案し、7日に社会保障審議会の医療保険部会で話し合われた。公費で賄う医療保険の給付を抑えるための施策で、導入は来年度からを検討されている。
入院時に患者が支払う食費を1食当たり260円から460円に引き上げるという案を厚生労働省が提案し、7日に社会保障審議会の医療保険部会で話し合われた。公費で賄う医療保険の給付を抑えるための施策で、導入は来年度からを検討されている。
入院時の病院食は保険の対象となり、食事療養費として給付された分を差し引いた金額を患者が支払うというシステムだ。もともとの1食あたりの食費は640円。一般入院患者はこのうち260円を自己負担し、残りの380円が公的負担となる。公的負担額は平均的な家庭の食費に合わせる形で、厚生労働大臣が定める基準値に添って算出されている。住民税非課税世帯の自己負担は210円で、このうち入院日数が1年間で90日を越えている場合には160円となる。住民税非課税世帯の70才以上の人にはさらに自己負担が抑えられ、1食100円となっている。
食事療養費は年間で約4,800億円にのぼっており、国としてはかさむ一方の医療費の公的負担額を少しでも削りたい考えだ。今回提案されている1食460円というのは、認知症などの慢性的な病にかかっている65歳以上の長期療養入院患者らが負担している食費に合わせている。2006年から70歳以上の人を対象に、療養病床に入院する患者の食費を調理費分も上乗せして算出するようになり、1食あたり460円の自己負担となっている。08年からは対象者を65歳まで引き下げて行っている。ただし低所得者や指定の難病にかかっている人、脊椎損傷などの患者には負担軽減措置をとっておりこの限りではない。
厚生労働省は在宅医療を受けている患者は食費を全額自己負担しているとして、不公平をなくすためにも、一般の入院患者に負担を求めている。療養病床の入院患者と同様に調理費分を食費に上乗せし、1食460円としたいとの意向だ。入院時の食費負担を引きあげることで在宅医療の普及につなげたいとの意図もあるようだが、患者側の負担が増すばかりでは安心して医療を受けることができない社会になってしまうのではないだろうか。(編集担当:久保田雄城)