【日経平均】FOMC待ち、スコットランド待ちで22円安

2014年09月17日 20:19

 リズム時計工業<7769>は前日、発行済株式数の11.35%にあたる1500万株を自社株消却すると発表し9円高で値上がり率12位。JFEHD<5411>は、傘下のJFEスチールがベトナム中部で計画中だった高炉一貫製鉄所の建設計画を白紙撤回すると発表し12.5円高。台湾メーカーと共同で事業化調査を行ったものの、アジア市場で鋼材の供給過剰が続き早期の収益確保は難しいと判断したが、マーケットは「賢明な選択」と評価した。

 製造業で2015年3月卒業予定の高校生を採用する動きが活発化し、新日鐵住金<5401>が前年度比約8割増の600人、マツダ<7261>が約6割増の250人以上を採用すると報じられた。新日鐵住金は1円高だったがマツダは21円安。「良い就職先がないからしかたなく大学に行く」という消極的動機の進学者が減れば4年後の大卒の就職状況も好転するはず。ピンチになるのは消極的動機の進学の受け皿になっていた大学だろう。

 日本化薬<4272>は特許が切れる田辺三菱製薬<4508>のリウマチ治療用バイオ医薬品「レミケード」の後発薬を今年度内にも発売と報じられた。薬価は3割安くなる見込み。日本化薬は12円高、田辺三菱製薬も1円高で年初来高値更新。同じ記事でリウマチ治療用バイオ医薬品を開発中と伝えられた明治HD<2269>は120円安、第一三共<4568>は39円安だった。後発医薬品の代表銘柄の日医工<4541>は、東海東京調査センターがレーティングを引き上げ51円高で年初来高値を更新した。この日、医薬品は数少ないプラスのセクターになっていた。ポーラオルビスHD<4927>は2016年12月期にEPS(1株当たり利益)を前期の2倍の260円、ROE(自己資本利益率)を8%に乗せる業績目標を示して165円高だった。
 イオン<8267>はマレーシアでの30年の実績をもとにインドネシア、ベトナムなどにも出店し、今後3年間で東南アジアでの売上高を倍増の5000億円に乗せることを目指すと報じられたが15円安で年初来安値更新。ホームセンターのアークランドサカモト<9842>は、3~8月期の純利益50%増を好感され一時ストップ高の418円高で上場来高値を更新し値上がり率トップ。ホームセンターの既存店売上高はマイナスだったが外食事業のとんかつの「かつや」が好調。10月1日から主力商品「ラテ」など約10品を10円値上げするスターバックスコーヒージャパン<2712>は27円高で年初来高値更新。ミルクの中身を変え豆の鮮度も高めるという。

 不動産セクターは、前日の首都圏マンション販売が前年同期比ほぼ半減の49.1%減という結果が尾を引いてこの日も軟調。業種別騰落率は最下位の海運に次ぐ32位だった。三井不動産<8801>は73円安。三菱地所<8802>は丸の内のビル群の賃料引き上げで営業利益を3年で50億円押し上げる見通しが出たが38.5円安。住友不動産<8830>は45円安。住友不動産販売<8870>は33円安で年初来安値を更新。野村不動産HD<3231>は34円安で6日続落した。

 パーク24<4666>は消費増税後の反動減、ガソリン高騰、天候不順が重なり、10月期通期の営業利益見通しを下方修正し増益から減益に変わった。年初来安値を更新したが、同時に増配と自社株消却を発表したのが功を奏し終値は1円高。産業廃棄物処理大手のダイセキ<9793>は野村證券が新規に「バイ」のレーティングと2270円の目標株価をつけ103円高で値上がり率14位だった。

 ゲーム・コンテンツ関連はenish<3667>が売買代金14位と前日から買いが止まらず一時ストップ高の361円高で値上がり率2位。18日から東京ゲームショウ(TGS)が始まるのでゲーム関連銘柄は注目を集めやすいが、グリー<3632>は32円安で値下がり率10位だった。ファンコミュニケーションズ<2461>は8月の月次売上高を発表。主力のモバイル向けアフィリエイト広告サービスが52.3%増加し全体では29.3%増で7月よりも伸び率が拡大して40円高だった。

 新興市場は日経ジャスダック平均が0.28%上昇、東証マザーズ指数が0.11%上昇。ミクシィ<2121>は利用者が全世界1300万人に達した「モンスターストライク」がカプコン<9697>の「モンハン大狩猟クエスト」とコラボして140円高。カプコンは30円高だった。ユビキタス<3858>はソフトバンクテクノロジー<4726>の子会社のミラクルリナックス社とカーナビなど車載情報機器用の基盤ソフトを共同で開発すると報じられストップ高の300円高。ソフトバンクテクノロジーは108円高で値上がり率7位だった。ユーグレナ<2931>は後場上昇して57円高。FCM<5758>は9月中間期と通期の業績見通しを上方修正し、期末一括配当を従来予想の26円から50円に増額してストップ高比例配分の400円高で年初来高値更新。

 新規IPOが1件。電子商取引(Eコマース)関連、ネット広告関連のソフトウェアの企画・開発・販売を手がけるロックオン<3690>が東証マザーズに新規上場した。初値がつかず、公開価格1300円の2.3倍の2990円の買い気配で終了した。

 この日の主役は、子どもがいても既製服を小売店で買うので備えている家庭はすっかり少なくなった「ミシン」の関連銘柄。ミシンメーカーも今は輸出する業務用ミシンや工作機械の生産が大部分。低位株としても人気の蛇の目ミシン工業<6445>はこの日の株式新聞が位置決め工作機械の「卓上ロボット」を1面でとりあげた。海外大手ブランドのスマホの製造工程に大量採用され4~6月期の販売台数は前年同期の約2倍の1300台超で、その後もフル生産中という。売買高2位、売買代金9位に入り株価は20円高で年初来高値を更新し値上がり率4位。他のミシンメーカーにも買いが波及し、JUKI<6440>は日経産業新聞に業務用高性能ミシンを約2倍に増産する記事が出て売買高16位に入り27円高で年初来高値を更新して値上がり率6位。お正月の縁起物銘柄だったペガサスミシン製造<6262>は42円高で年初来高値を更新し値上がり率10位。今やプリンターなど情報機器が売上高の約7割を占めるブラザー工業<6448>は1円高で終えていた。(編集担当:寺尾淳)