【日経平均】FOMC無事通過しドル円108円台で178円高

2014年09月18日 20:23

 東京電力<9501>は火力発電で中部電力<9502>との提携を決めたと報じられた。東京ガス<9531>は離脱。東京電力は1円高、中部電力は8円高、東京ガスは8.7円高で年初来高値を更新した。東北電力系の電気工事会社ユアテック<1934>は、創立70周年記念配当2円を実施し中間配当予想を5円から7円に増額修正して7円高。建設セクターは業種別騰落率マイナス。ランキングでおなじみの顔ぶれは三井住友建設<1821>は値動きなしだったが、佐田建設<1826>は6円安、西松建設<1820>は20円安、熊谷組<1861>は14円安、安藤ハザマ<1719>は26円安、飛島建設<1805>は8円安、駒井ハルテック<5915>は10円安、福田組<1899>は36円安。相場の主役は入れ替わる。

 新日鐵住金<5401>は爆発事故の件で愛知県警が名古屋製鉄所を家宅捜索したが、アルセロール・ミタルと合弁でアメリカのアラバマ州カルバートで操業する鋼板工場が約50億円の追加投資を受け自動車用鋼板の供給量が3倍に増加と報じられ2.5円高。輸入炭の住石HD<1514>が忘れた頃に突然のランキング登場。売買高4位で16円高になり年初来高値を更新して値上がり率1位。傘下の住石マテリアルズが、オーストラリアの炭鉱の運営会社ワンボから訴えられた事件の控訴審で勝訴し判決が確定したことが材料で、特別利益の計上、復配が想定された。

 セブン&アイHD<3382>はセブンイレブンが好調で、3~8月期の営業利益は2%増の1670億円強で2年連続で過去最高という業績観測記事が出て39円高。食品スーパーのライフコーポレーション<8194>は2月期通期業績見通しを7月に続いて2回目の上方修正。営業利益を82億円から90.5億円に修正し132円高で年初来高値を更新し値上がり率3位になった。ドラッグストアのツルハHD<3391>は6~8月期の純利益が8%増で20円高。家電販売店のエディオン<2730>はユーロ円建新株予約権付社債を発行して150億円を調達すると同時に800万株、50億円上限の自社株買いを発表して6円高。ビックカメラ<3048>傘下のコジマ<7513>は訪日観光客に対応した免税対応店を郊外店にもひろげると伝えられ4円高。ビックカメラは20円高。スポーツ用品店のヒマラヤ<7514>は8月期の業績見通しを経常利益17%減、純利益24%減の減益見通しに下方修正して7円安だった。

 ネットで介護・医療業界に特化した人材紹介事業などを展開するエスエムエス<2175>は、4~9月中間期の経常利益見通しを12億円から15.8億円に上方修正し、減益率が3.6%に縮小する見込みで183円高で値上がり率6位。バルチック海運指数は5日続落したが、運賃が円安メリットを受ける海運セクターは日本郵船<9101>1円高、商船三井<9104>2円高、川崎汽船<9107>7円高。一方、円安で燃料費が高くなるJAL<9201>は70円安、ANAHD<9202>は1円安、スカイマーク<9204>は3円安と悪く、空運セクターの業種別騰落率はマイナスで最下位だった。最近は鳴かず飛ばずだった不動産セクターは反発し、三井不動産<8801>は41円高、三菱地所<8802>は22.5円高、住友不動産<8830>は28.5円高だった。

 新興市場は日経ジャスダック平均は0.42%下落、東証マザーズ指数は0.81%上昇。アスカネット<2438>は2340円高で年初来高値更新と大幅上昇。「東京ゲームショウ(TGS)」が幕張メッセで開幕したが、ミクシィ<2121>は「モンスターストライク」を10月に北米、12月に韓国でも提供を開始すると発表すると後場プラスに転じ460円高。しかし今週前半華々しかったenish<3667>は308円安で値下がり率1位。

 新規IPOがこの日も1件。クラウドメディアサービスの運営などを行うIT系企業のリアルワールド<3691>が東証マザーズに新規上場した。公開価格2530円に対し11時26分、4505円と1.78倍の初値がついた。しかし終値はストップ安の3805円とケチがついた。前日に初値がつかず持ち越されたロックオン<3690>は11時9分に初値がつき、公開価格1300円に対し5000円で3.84倍。終値は4790円だった。

 この日の主役は業績見通しも株価も「大崩壊」をきたしたソニー<6758>。前日大引け後の発表を聞いて目の前が真っ暗になった投資家もいたはず。iPhoneと中国製スマホに挟撃されて「エクスペリア」が売れなくなりモバイル・コミュニケーション事業で約1800億円の営業権の減損処理を行い、最終赤字が前期の約1.8倍の2300億円にふくらむなど通期業績見通しを下方修正。合わせて今期の年間配当ゼロを発表した。リストラによる減損処理だけならまだ救いがあるが、重要分野のはずのスマホで転んだことと1958年の上場以来初の無配転落は「ソニー神話」の終わりを意味する出来事。平井一夫社長は記者会見で「このような厳しい決定に至ったことを重く受け止めている」と陳謝した。

 NY市場のADR(米国預託証券)は東証終値比78.5円安。東京市場の終値は9月1日に乗せた2000円を割り込んで1940円。183.5円安で8.64%下落し値下がり率2位だった。売買高は3位、売買代金は2位。アナリストの見方は、「ネガティブサプライズはこれで最後」「まだありそうだ」と割れている。投資家にしてみれば、「PS4」の世界販売1位、自動運転車用カメラセンサー、無人飛行機など材料が小出しに出ては連騰が繰り返され、「我らがソニーも復活か?」と目を細めた人も少なくなかったはず。そんな小さな積み重ねで築いた砂の城は、突然の大衝撃でもろくも崩れてしまった。まるで「本能寺の変」のような強烈などんでん返しの裏切りは投資家心理に深刻なトラウマを残す。これでもう何度目かの「ソニーショック」は、今後の東京市場で尾を引きそうだ。

(編集担当:寺尾淳)