【今週の展望】大きな目標を達成したら逆境にもろくなる?

2014年09月21日 20:07

 今週、9月第4週(22~26日)は23日の火曜日が「秋分の日」で祝日休場になるので4日間の取引。3月期決算銘柄の中間期末、9月期決算銘柄の期末で配当取り、株主優待取り、株式分割等の権利取りを狙う人には、25日は権利取り最終売買日、26日は配当権利落ち日という権利確定イベントの2日間。

 世界の主要国の株式市場の休場は、22日はブルガリアが独立記念日で休場。23日はサウジアラビアが建国記念日で休場。24日は南アフリカ・ヨハネスブルク市場とナミビアが「ヘリテージ・デー」(伝統文化継承の日)で休場する。24~26日の3日間はイスラエルが「ユダヤ新年(ローシュ・ハッシャナー)」で休場する。NY市場、ロンドン市場をはじめ世界の金融マーケットの関係者にもユダヤ系の人は少なくない。ユダヤ新年は1日目の取引終了後の日没から始まるので、取引時間と重なるのは2日目と3日目。NY市場のその2日間の売買高を直前の2営業日と比較すると、2012年は26%減、2013年は21%減だった。もちろん、ユダヤ教徒と言ってもラビ(導師)ではないから休まず仕事優先の人もいる。

 国内の経済指標は少なく、重要なのは26日の消費者物価指数ぐらい。22日は8月のコンビニ売上高、25日は8月の企業向けサービス価格指数、26日は消費者物価指数(CPI/8月全国、9月東京地区)が、それぞれ発表される。

 22~27日に安倍首相がアメリカを訪問しNYの国連総会に出席する。24日は気象庁が10~12月の3ヵ月予報と10~3月の「寒候期予報」を出す。冬は冬らしくなるか? 25日は3月期中間期、9月期の権利取り最終売買日。25~28日に東京ビッグサイトで「ツーリズムEXPOジャパン」が開催される。26日は3月期中間期、9月期の配当権利ち日。

 主要企業の決算発表は、小売業や外食産業が多い2月期決算企業の3~8月期中間決算が26日から本格化する。22日はあさひ<3333>、24日はキリン堂HD<3194>、25日はニトリHD<9843>、26日はDCMHD<3050>、ジーンズメイト<7448>、ハイデイ日高<7611>、NaITO<7624>、壱番屋<7630>が発表する予定。

 新規IPOは今週は2件ある。24日にジェネレーションパス<3195>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社で寝具、インテリアなどの総合ネットショッピングサイト「リコメン堂」を運営するEコマース企業。公開価格は1200円。25日にリボミック<4591>が東証マザーズに新規上場する。東京が本社で、RNAアプタマーを用いた分子標的薬の研究・開発を手がける創薬ベンチャー。公開価格は2300円。

 海外の経済指標は23日の中国のHSBCのPMIが重要。13日発表の中国の経済指標でネガティブなものがゾロゾロ出てきたので油断できない。イエレンFRB議長が気にするアメリカの住宅関連指標も引き続き警戒。

 22日はユーロ圏の8月の消費者信頼感指数、アメリカの8月のシカゴ連銀全米活動指数、中古住宅販売件数、23日は中国の9月のHSBC製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値、フランスの4~6月期の国内総生産(GDP)、フランス、ドイツ、ユーロ圏の9月の購買担当者景気指数(PMI)速報値、アメリカの7月のFHFA住宅価格指数、9月のマークイット製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値、リッチモンド連銀製造業指数、24日はドイツの9月のIFO景況感指数、アメリカの8月の新築住宅販売件数、25日はアメリカの8月の耐久財受注、9月のマークイットサービス業購買担当者景気指数(PMI)速報値、26日はフランスの9月の消費者信頼感指数、アメリカの4~6月期の国内総生産(GDP)確報値、9月のミシガン大学消費者信頼感指数改定値が、それぞれ発表される。25日は台湾、トルコで中央銀行の会合があり政策金利が決まる。

 アメリカ主要企業の決算は、23日はベッド・バス・アンド・ビヨンド、24日はKBホーム、25日はナイキが発表する予定。

 前週は「達成感たっぷりの週」だった。FOMC、スコットランドの住民投票、新型iPhone発売、アリババのNY上場といった大きなイベントをことごとく「無事通過」し、オセロゲームの駒は全部白だった。これがもし駒が全て黒、すなわちFOMCでイエレン議長が早期利上げを示唆し、スコットランドの独立が決まり、新型iPhoneの人気が盛り上がらず、アリババの初値が公開価格を割り込んだら、今週の世界の為替、株式、債券市場は疾風怒濤の大嵐になっていたはずだ。

 それと全く正反対の結果だったから、19日にドル円が109円台、ユーロ円が141円台になり、前々週末の12日から1週間でドル円が2円、ユーロ円が3円を超える「スピード違反」とも思える急速な円安が進行。為替レートはリーマンショック前の2008年頃の水準を取り戻した。日経平均もTOPIXも今年1月の年初来高値を更新。日経平均は前週だけで372円上昇し、今年だけでなく2013年の最高値も上回り「アベノミクス相場最高値」さらに「リーマンショック後最高値」もマーク。終値でほぼ同水準だったのは2007年11月2日までさかのぼり、同年8月27日に総辞職した第一次安倍内閣当時の水準にも手が届こうとしている。もしこのまま株価の上昇が続けば、2014年9月19日は「日本株がリーマンショックを完全に乗り越えた日」というメモリアル・デーになるだろう。