【日経平均】NYダウが連日3ケタ安でも38円安どまり

2014年09月24日 20:14

 しかし、建設とペアで語られることも多い不動産セクターは構造的な問題もあるようで相変わらず不振。三井不動産<8801>は36.5円安、三菱地所<8802>は33.5円安、住友不動産<8830>は73.5円安。地価が高くなると仲介手数料は増えても投資利回りは悪くなり、金利が上昇しても、建設需要が盛り上がってもコスト増で利益が圧迫される。バブル時代に土地の転売で潤ったのも今は昔で、むしろインフレに弱い業種と化している。

 カゴメ<2811>は、三井物産<8031>とマレーシアで合弁企業を設立し、最近話題の「ハラール市場」に参入すると伝えられ4円高。三井物産は年初来高値を更新しながら1.5円安だった。キリンHD<2503>のキリンビールは地ビール最大手の長野県軽井沢町のヤッホーブルーイングと資本業務提携し、10月に株式3割超を取得して第2位株主になり製造や開発で連携すると報じられたが7円安。三菱商事<8058>は、サケの養殖・加工で世界第3位のノルウェー企業セルマックをTOBで買収すると報じられ3円高。2015年3月末までに完全子会社化を目指す。買収額は最大1500億円の見込み。住友商事<8053>は約900億円を投資してガーナで34万キロワットの複合ガス火力発電所を建設・運営すると報じられ5円高で年初来高値更新。ガーナは高度経済成長が続く「アフリカの星」で、2017年の稼働を目指す。

 「靴下屋」チェーンのタビオ<2668>は3~8月期の営業損益見通しを従来の2200万円の赤字から2.5億円の黒字に上方修正して黒字転換し一時ストップ高の73円高で年初来高値更新。消耗品は消費増税後の反動減に強い。株主優待券で手に入れた自転車を乗り回す人の写真がメディアに盛んに露出するせいか、個人投資家に妙な人気があるのが自転車小売チェーンのあさひ<3333>。2月期通期が2期ぶりに7%減の20億円という最終減益見通しで51円安で年初来安値更新と押し目買いのチャンス。来年の春は新車でサイクリングに出かけよう。

 「キティちゃん」が全世界の女子に愛されるサンリオ<8136>は銀座店を免税対応にするが35円安。デパートも専門店も訪日外国人観光客が途絶えず、今や「GINZA」はNYの5番街にも匹敵するショッピング街だ。アメリカ本社が2段階のTOBをかけ約1000億円で完全子会社化すると発表したスターバックスコーヒージャパン<2712>は東証が監理銘柄に指定し62円高で年初来高値更新。2015年中に上場廃止になる予定。

 ANAHD<9202>の全日空は昨年7月の「EDY」に続き、10月から国内線全路線の機内販売で「Suica(スイカ)」など9種類の交通系電子マネーの利用が可能になり売買高13位だが0.9円安。ANAの機内販売は国内線だけで年間20億円も売り上げるという。人材派遣のキャリアリンク<6070>は、営業利益を5.3億円から7.29億円に修正するなど2月期の通期見通しを8月に続き2回目の上方修正。45円高で年初来高値を更新した。

 ネット・コンテンツ関連の話題では、年内とアナウンスされていたLINEの日米市場への上場が、アリババ上場の後では「適切な時期ではない」と延期になった。LINE関連銘柄は、エイチーム<3662>は590円安で値下がり率1位、エムアップ<3661>は79円安で値下がり率2位、ネオス<3627>は49円安で値下がり率8位、アドウェイズ<2489>は155円安、メディアドゥ<3678>は410円安、ネットイヤーG<3622>は124円安、マーベラス<7844>は5円安、メディア工房<3815>は97円安など、御屋形様が年内上場を見送れば一族郎党打ち揃って転ぶ。その影響を受けたのかミクシィ<2121>は370円安、コロプラ<3668>は190円安で値下がり率9位、enish<3667>は81円安、Klab<3656>は80円安で値下がり率14位と連れ安していた。

 新興市場は日経ジャスダック平均が0.66%下落、東証マザーズ指数も1.93%下落。寝具、インテリアなどの総合ネットショッピングサイト「リコメン堂」を運営するEコマース企業、ジェネレーションパス<3195>が東証マザーズに新規上場した。公開価格1200円に対して1時53分、2.19倍の2630円の初値がついた。さすがはネット関連銘柄だが終値は2130円と押し下げられた。

 株式市場にデビューする企業もあれば、かつては殷賑を極めながら去りゆく企業もある。この日の話題はダイエー<8263>の上場廃止。イオン<8267>はダイエーを完全子会社にする方向で丸紅<8002>も交えて最終調整に入ったと報じられた。ダイエーの株主にイオン株を割り当てる株式交換を実施し、2015年春までにイオンが少数株主の持ち分を取得して上場を廃止するという。イオンは30円安、ダイエーは売買高4位に入り21円高で値上がり率1位、丸紅は4.9円安。その余波なのかイオン北海道<7512>が43円高で値上がり率6位に入っていた。

 創業オーナーの故・中内功氏が鏡割りして鳴り物入りで大証2部に初上場したのは1971年3月で、1972年1月に大証1部に指定替えになり同年3月に東証1部にも上場した。しかし来春、ホンダ、ソニー、キヤノン<7751>などと並ぶ戦後派企業のトップランナーで小売業日本一の座にもついたダイエーの名は、初上場から44年で株価ボードから消え去る。「想像できるあらゆる悲劇は、ただ一つに限られる悲劇に回帰する。『時の流れ』である」(シモーヌ・ヴェイユ)(編集担当:寺尾淳)