NISA、若者に利用広まらず 口座開設率、60代で高く

2014年09月29日 08:35

 今年1月にスタートした、新たな非課税制度、NISA(ニーサ)。年間100万円までの投資から生じる売却益や配当金が、5年間非課税となる。利用対象者は「20歳以上の日本居住者」と幅広いことから、若者をターゲットに広告戦略を展開する銀行や証券会社も多い。が、現状では、「若い世代に利用して欲しい」という業界の期待通りには行っていないようだ。

 調査会社のクロス・マーケティングが、全国の20~60代の男女にアンケートを実施したところ、NISAの認知度は8割を超えたものの、20代で口座を開設しているのは全体の7.4%にとどまった。60代では58.1%が開設していた。若年層では、「資金がない」「どのように始めればいいか分からない」などの理由で、口座開設をためらう人が少なくない。
 
 調査は今年8月、クロス・マーケティングが全国の20~60代の男女(金融関係、出版・マスコミ、広告代理店、調査会社、学生を除く)2719名に対して、ウェブアンケートで実施。全体のうち、株式や投資信託などに「興味・関心がある」人は34.8%だった。投資に興味があると答えた人1000名を対象に、「NISAについて知っているか」尋ねたところ、「名前だけは知っている」も含め、80.5%が「知っている」と答えた。20代でも7割、60代では9割が認知している。

 NISAのイメージについては、「非課税」、「少額から投資ができる」、「気軽・手軽」といった回答が多いが、「少額から投資ができる」というイメージは実際のNISAの制度とは異なり、正しく理解されていない可能性もある。20代では、「名称は知っているが内容は分からない」などの回答が多かった。

 口座を開設している割合や、検討している割合は、50~60代の高齢層と、保有金融資産が多い層で高い。若年層では、投資に興味があっても「資金がない」と口座開設をためらう人が多かった。「若者にも利用を」と期待する金融業界の期待通りには、なかなか行かないようだ。(編集担当:北条かや)