NISAが好調 投資のイメージをポジティブに変えるか

2014年07月31日 08:42

 NISAが好調だ。金融庁が発表した2014年3月末時点のNISA口座の開設数は650万件。しかし、野村総合研究所<4307>の予測では、2014年末までに累計815万件の口座開設の申込みが予測されます。これに、口座あたりの推計投資金額を掛け合わせるとNISA口座を通した投資金額は年内に5兆3000億円に達する見込みだという。

 野村総合研究所(NRI)は、2014年6月下旬に、「NISA(少額投資非課税制度)についての利用実態調査」を実施した。それによると、金融庁が2014年3月31日付の値として発表したNISA口座開設数(650万件)、NRIが金融機関からヒアリングした情報、およびこの調査の結果を基にすると、NISA口座の開設を金融機関に申し込んだ人は、6月末時点で全国に約710万人いると推計される。

 また、この調査をもとに今後のNISA口座の申込者数を予測すると、7月から12月までにさらに105万人が申込み、2014年末には累計で815万件に達すると推計されるという。NISA口座の開設は、当初は株式や投資信託を保有していた人が先行していたが、今後は、投資未経験者による口座開設の割合の増加が見込まれ、105万人のうち60万人は投資未経験者によるものと推計される。

 金融機関にNISA口座の申込みを済ませた人(約710万人)の2014年の平均投資額は、調査結果から65万円と推計。ここから、申込済の人の投資総額は約4兆6000億円となる。また、14年内に利用を開始する意向のある人(105万人)の14年の平均投資額は66万円と推計される。このため、総投資額は7000億円となる。そして、両者を合計すると、NISA口座における投資金額は、14年1年間で5兆3000億円に達すると見込まれる。

 世代別にみると、既に口座を申し込んだ人の5割以上は、60代以上によって占められており、30代以下は17.3%にとどまっている。しかし、投資経験による区分別に見ると、「非投資家層」においては30代以下の比率が35.4%となっており、60代以上の39.1%に迫る比率となっている。NISAをきっかけに、投資を開始してみたいと考えている若年層が多いことが考えられるとしている。

 また、「投資」に対するイメージと「NISA」に対するイメージを聞いたところ、「投資」のイメージとして最も高かったのは、「リスクが高い」(39.1%)だった。しかし、「NISA」について「リスクが高い」と回答した人は半分以下の15.9%だった。また、「投資」に対しては「損をする」(26.8%)、「ギャンブル/賭博」(23.7%)のイメージがあるのに対して、「NISA」ではそれぞれ13.4%、11.3%にとどまった。逆に、「投資」について「少額から始められる」イメージは7.3%と低いのに対して、「NISA」は25.3%となっており、敷居が低い制度という認識がもたれている。

 このようにNISAは好調のようだ。また、NISAによって投資に対するネガティブなイメージが払拭されているようだ。これから、非課税枠が2倍になる可能性もあり、また、子どもNISAも検討されているだけに今後の展開に注目したい。 (編集担当:慶尾六郎)