【日経平均】137円安は香港の騒ぎと住友商事が悪いのか?

2014年09月30日 20:25

 29日のNYダウは41ドル安。NASDAQは6ポイント下落した。最大の下げ要因は行政長官選挙制度をめぐる香港の騒ぎで、民主派は金融街のセントラルや観光客も多いワンチャイ、コーズウェイベイ、モンコックなどの繁華街を一時占拠。一部の支店を休業した香港ドル発券銀行のHSBC、スタンダードチャータード銀行はロンドン市場で大幅下落し、思わぬ中国リスクの発生でVIX指数(恐怖指数)は上昇した。停戦したはずのウクライナで戦闘による死傷者が出たという報道もあり下げ幅は序盤一時170ドルを超えたが、個人消費支出など経済指標は堅調で、シカゴ連銀のエバンス総裁が早期利上げに慎重な見方を示したこともあり徐々に買い戻された。ソフトバンクが買収と伝えられたドリームワークス・アニメは26.0%急騰。30日朝方の為替レートはドル円が109円台前半の円安水準を堅持しユーロ円は138円台後半だった。

 CME先物清算値は16265円。月末で取引時間前に8月の国内経済指標がまとめて発表された。労働力調査は失業率が3.5%で7月比で0.3ポイント低下し市場予測よりも0.1ポイント良かった。有効求人倍率は1.10倍で6月、7月と同じで市場予測とも同じ。家計調査の二人以上世帯の実質消費支出は前年同月比で4.7%減で5ヵ月連続マイナスで市場予測を1.1ポイント下回った。商業販売統計の小売業販売額は前年同月比1.2%増で2ヵ月連続プラス。大型小売店は1.8%増だった。鉱工業生産指数速報値は市場予測の0.3%増に対し7月比1.5%減で2ヵ月ぶりに低下するというネガティブサプライズだった。

 「ドレッシング買い」という言葉もすでに手アカがついた感じがする9月最終日の日経平均は57.92円安の16252.72円で始まった。TOPIXもマイナス。「一国二制度」とはいえ、中国経済とコネクションが強い香港はやはり気になるのか、「寄り付き高値(寄り天)」で約30分で16120円まで下落するが、その後は16170円を超える水準まで戻す。10時30分に発表された毎月勤労統計調査速報の現金給与総額は前年同月比1.4%増で6ヵ月連続で上昇したが、物価変動分を考慮した実質賃金は2.6%減で消費増税の影響が続く。世界が注目する香港ハンセン指数は大幅続落で始まるが上海総合指数はプラスで6日続伸と好対照。しかし10時45分にHSBCの中国の製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値が速報値を0.3ポイント下回る50.2に下方修正され市場予測の50.5を下回ると上海もマイナスに転じ、日経平均も再び下落開始。11時台は16100円を割り込み、前引け直前に16058円の安値をつけ前引けは16070円。

 昼休み中にドル円の円高が進行したが後場は少し高く16087円で再開し、すぐに16100円を再び超える。為替も円安方向に戻していた。1時発表の8月の自動車生産台数は前年同月比6.7%減で2カ月連続マイナス。1時台はおおむね16100~16130円で小動きし、1時45分頃から水準が少し上がり16130~16150円に。為替もほとんど動かなくなる。香港ハンセン指数は年初来安値更新。2時発表の新設住宅着工戸数は前年同月比12.5%減で6カ月連続マイナス。2時台後半になると下げ幅を縮小し16170円付近まで上昇するが「ドレッシング」と言うには薄化粧。それでも大引け前には大量の売買が入って乱高下し、終値は137.12円安の16173.52円で反落。前月末29日の終値から748.93円上昇し、為替の円安に支えられ年初来高値を更新した9月の取引を終えた。日中値幅は194円と大きい。TOPIXは-11.01で1326.29。売買高は23億株、売買代金は2兆2798億円と月末らしく活発な売買だった。

 値上がり銘柄は357、値下がり銘柄は1378で全体の75%を占めた。上昇は3業種で下落は30業種。プラスのセクターは空運、小売、鉱業。マイナスセクターで下落幅が小さいのは水産・農林、食料品、精密機器など。下落幅が大きいのは卸売、証券、鉄鋼、石油・石炭、パルプ・紙、その他金融などだった。

 日経平均採用225種は値上がり31銘柄、値下がり189銘柄。プラス寄与度1位はホンダ<7267>、2位はクボタ<6326>でともに+2円。マイナス寄与度1位はソフトバンク<9984>で-13円、2位はダイキン工業<6367>で-9円だった。

 メガバンクはみずほ<8411>は2.8円安、三菱UFJ<8306>は1.4円安。しかし三井住友FG<8316>は4~9月中間期の当期純利益見通しを3300億円から4600億円に大幅上方修正し前期比9%減だが30円高。三井住友銀行の貸倒引当金戻入益が増加する見通し。地銀の池田泉州HD<8714>が保証会社のEギャランティ<8771> とビジネスマッチング契約を締結したが6円安。Eギャランティは47円高。証券セクターは業種別騰落率32位と不振で、野村HD<8604>は13.1円安、大和証券G<8601>は18円安だった。

 自動車大手は大引け前の大量買いで、トヨタ<7203>は25円安まで下げ幅を圧縮しホンダは一気にプラスに転じて30円高。富士重工<7270>は上げ幅を拡大し48円高で終えた。日産<7201>は少し上昇して8.5円安だったが、マツダ<7261>には何もなく31円安。ソニー<6758>は逆行高して32円高。4K放送受信機を10月に4万円前後で発売するなど「小ネタの小出し」がまた始まった。シャープ<6753>は3円安、東芝<6502>は6.8円安、日立<6501>は16円安、NEC<6701>は5円安だった。

 アルプス電気<6770>はみずほ証券が目標株価を引き上げ年初来高値を更新しながら9円安。セイコーHD<8050>は野村證券が新規に「バイ」、目標株価800円の投資判断をつけて57円高で値上がり率2位。ダイキン工業は252円安と悪かったがクボタは59.5円高と健闘。市光工業<7244>は日経産業新聞が照射角を通常の3倍の約60度にひろげたヘッドランプを開発と報じて17円高で3日続伸し値上がり率6位。富士重工のワゴン車やスポーツセダンに納入しているという。圧力IH炊飯ジャーが売れている象印マホービン<7965>は11月期の通期営業利益見通しを50億円から55億円に上方修正し年初来高値を更新しながら3円安だった。