ローソン<2651>の3~8月中間期決算は、営業総収入は3%減、既存店売上高は1%減ながら営業利益は12%増、純利益は15%増でともに中間期の最高益を更新したが120円安。2月期通期は営業総収入を下方修正したが営業利益10%増、純利益3%増の見通しは据え置き。丸善CHI<3159>が14円高で年初来高値更新、文教堂GHD<9978>がストップ高の80円高で年初来高値更新、三洋堂HD<3058>が15円高と買われた理由は9日発表予定のノーベル文学賞。「毎年、第三世界の作家ばかり」というイメージがあり今年もケニア人の有力候補がいるが、もし村上春樹氏が受賞すれば著作が売れて書店銘柄は上昇するという思惑。村上氏が著作の電子書籍化に消極的でまだ点数が少ないのも「紙の本屋さん」には追い風になる。それでも将来、ITで国境を簡単に超える電子書籍で海外から評価され、ノーベル文学賞を受賞する日本人作家が出てくるかもしれない。
日本マクドナルドHD<2702>は前日、12月期の営業損益が94億円、最終損益が170億円の赤字の見通しを発表した。赤字は11年ぶり。通期の売上高は15%減の見込みだが年間配当は従来通り30円。9月の既存店売上高が16.6%減にとどまったのを評価されたのか後場プラスの時間帯もあり1円安。「マックのお客さんが流れた」と言われた讃岐うどんの「丸亀製麺」を運営するトリドール<3397>は24円高だった。
財務省は来年度の予算折衝で介護保険の介護報酬引き下げを厚生労働省に要請すると報じられた。人手不足が深刻な介護職員は処遇改善の加算を拡充しても、それ以外は9年ぶりの平均6%のマイナス改定。売上に影響しそうなニチイ学館<9792>は22円安、セントケアHD<2374>は2円安でも、ケア21<2373>は値動きなし、ツクイ<2398>は1円高、ユニマットそよ風<9707>は8円高と高安まちまち。技術者派遣のアルプス技研<4641>は50万株、6億5000万円上限の自社株買いを発表し22円高で年初来高値を更新。東宝<9602>は「アナと雪の女王」が記録的大ヒットで2月期通期の営業利益見通しを235億円から286億円に上方修正し97円高。「思い出のマーニー」、前作よりも日本人の違和感が薄れた「GODZILLA」の新作もヒットしたという。
値上がり率1位は橋本総業<7570>で240円高で年初来高値更新、2位はルネサスイーストン<9995>で96円高、4位はウイン・パートナーズ<3183>で115円高で年初来高値更新、6位はスターツ<8850>で92円高だった。
ネット・コンテンツ関連では、「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル」がユーザー数500万人を突破と発表したKlab<3656>の51円高とともに、コロプラ<3668>が145円高と逆行高。手塚プロダクションと協力し手塚治虫記念館開館20周年を記念したコラボ企画を実施と発表したのが材料。ゲームに手塚作品のキャラクターが突然、出現するという。でもゲームキャラへの恋わずらいはブラックジャック先生でも治療できない? 新興市場は、日経ジャスダック平均は0.02%下落したが東証マザーズ指数は0.85%上昇。FFRI<3692>ストップ高で5日続伸し、ミクシィ<2121>、トレックスセミコンダクタ<6616>が上昇していた。
新規IPOが1件。東証2部にフィルタ製品の研究開発、製造、販売を手がけるヤマシンフィルタ<6240>が上場した。公開価格2800円に対し9時36分、19.6%高い3350円の初値がついた。終値は3500円で上々のデビュー。1956年創業と歴史は古く、建機など油圧機器、製造機械向けのろ過フィルターで地道に技術力を磨いてきたメーカー。堅実派の投資家に好まれそうだ。
この日の主役は「青色発光ダイオード関連銘柄」。発明、実用化に貢献した赤崎勇・名城大学終身教授、天野浩・名古屋大学教授、中村修二・カリフォルニア大学教授のノーベル物理学賞受賞が発表された。主要製造メーカーは中村氏が在籍した日亜化学工業と豊田合成<7282>だが、日亜化学は未上場、豊田合成は朝方はね上がったが後は尻すぼみで14円安。LED照明に関係が深いシーシーエス<6669>は一時ストップ高の91円高、アビックス<7836>は9円高、遠藤照明<6932>は30円高だったがデバイス関連の昭和電工<4004>は2円安。赤崎氏が在籍したパナソニック<6752>は15円安、日亜化学の筆頭株主の阿波銀行<8388>は4円安、天野氏と共同研究する日本ガイシ<5333>は10円安だったが、ここまでくると少々ワルノリ気味。
青色発光ダイオードは実用化から約20年経過し、現在はスマホから交通信号まで、産業界でも日常生活周辺でも大いに利用されている。2年前に医学・生理学賞を受賞した山中伸弥氏の「iPS細胞」と違い、これから莫大な投資が入って市場が立ち上がるわけではないので、江崎玲於奈氏の時のソニー、小柴昌俊氏の時の浜松ホトニクス<6965>、田中耕一氏の時の島津製作所<7701>のように、ブームは一過性で終わりそうだ。(編集担当:寺尾淳)