文化庁による2013年度の国語世論調査の結果が公表された。調査は今年3月に実施され、個別面接方式で質問し、2,028人の有効回答をもとに集計された。社会全体の言葉や言葉の使い方について、「以前よりも関心が低くなっていると思う」と答えた人は48.2%で、「以前よりも関心が高くなっていると思う」の22.8%を大きく上回った。さらに、言葉に関する社会全体の知識や能力は「以前よりも低くなっていると思う」が57.3%で、「以前と変わらないと思う」は25.0%、「以前よりも高くなっていると思う」が13.7%だった。
社会全体の言葉の知識や能力が「低くなっている」と捉えている人を年齢別に見た場合、16~19歳の層が42.7%であるのに対し、20代で62.0%、30代で60.7%、40代で63.5%、50代で66.7%と最も高かった。反対に「高くなっている」と答えたのは16~19歳の層が最も高く26.8%で、20代~60代の回答率は10%台にとどまった。言葉への危機感は中高年層でより強い傾向があることが分かる。
名詞などに「~る」「~する」を付けて動詞のように使用する言葉についても調査が行われた。電子レンジで加熱するという意味の「チンする」を「使う」と答えた人は90.4%にも上った。慌ててパニックになるという意味の「パニクる」も49.4%が使用するとし、社会に定着していることを伺わせる。挙動不審を表す「きょどる」は「使う」が15.6%だが「聞いたことはあるが使うことはない」が34.9%になり、認知の広がりを感じる。文化庁は「新しく生まれる造語はすぐに廃れるものもあるが、逆に定着していくものもある」と分析している。
ビジネスで使用されることの多い外来語についても調査が行われた。文書などで用いる際、「日本語で表した方がいいか、外来語を使う方がいいか」について質問をしたところ、「利点」という言葉については、日本語のまま使った方がいいという人が57.4%で、19.2%の人が外来語に当たる「メリット」を使った方がいいと答えた。また「危険性」は60.2%で、同様の意味となる「リスク」を使用した方がいいと答えたのは15.8%となった。「優先順位」を意味する「プライオリティー」を使った方がいいとするのは0.8%にとどまった。日本語のままの表記を支持する人は意外に多いようだ。(編集担当:久保田雄城)