【日経平均】225種の上昇6銘柄のみ335円安の超・全面安

2014年10月16日 21:31

 その中でやっぱり強かったのが「エボラ出血熱」関連で、代表選手の富士フイルムHD以外にも多くの銘柄がプラスになり、ストップ高の銘柄、年初来高値を更新する銘柄も続出した。使い捨てゴム手袋の不二ラテックス<5199>は50円高。バイオハザード設備のダルトン<7422>は80円高、日本エアーテック<6291>は300円高で値上がり率1位。海外渡航者に病院の手配などを行う医療アシスタンス事業の日本エマージェンシーアシスタンス<6063>は300円高。「赤外線サーモグラフィ」の日本アビオニクス<6946>は80円高。衛生材料の川本産業<3604>は80円高。マスクの興研<7963>は500円高、重松製作所<7980>は150円高。バイオハザード防護服のアゼアス<3161>は300円高。患者隔離装置やマスク、防護服など展開する帝国繊維<3302>は500円高で値上がり率3位。東証1部で売買高2位に入り14円高で値上がり率6位だったシキボウ<3109>も抗ウイルス加工繊維「フルテクト」を使ったマスクを出している。この日は右を向いても左を向いても全面安で、他に買い向かえるテーマがなかったとも言えそうだ。

 それ以外に好材料で買われてプラスだった銘柄には、通期の営業利益見通しを2.1億円から2.8億円に上方修正して18円高の双信電機<6938>、3~8月中間期の売上高が20.2%増、営業利益が28.2%増で従来予想を上回って59円高のPRエージェンシーのベクトル<6058>があった。リゾートトラスト<4681>は46円高。4~9月中間期の営業利益見通しを81億円から93億円に、通期の営業利益見通しを152億円から155億円に上方修正し、中間配当、期末配当予想をともに18円から20円に増額修正した。ホテル会員権の販売が好調で消費増税による反動減が想定よりも軽かったという。百貨店の高額商品ともども富裕層ビジネスは強し。JIN<3046>は前日発表の8月期決算は減収減益に減配と悪かったが、今期見通しが2ケタ増収増益に増配の方針で59円高だった。

 新興市場は日経ジャスダック平均が1.28%、東証マザーズ指数が2.19%ぞれぞれ下落した。ミクシィ<2121>も100円安で、元気なのはエボラ出血熱関連銘柄ばかり。その中でロボット関連の菊池製作所<3444>は期末配当予想を20円から7円に修正し、株式分割を考慮すれば1円増配。同時に1対3の株式分割を実施すると発表して740円高と健闘していた。

 この日の主役は、何と言っても今年最大規模の新規IPOのリクルートHD<6098>の東証1部上場。9時の取引開始と同時に公開価格3100円を2.3%上回る3170円の初値がついた。黒星や引き分けこそ避けられたが大方の期待に及ばない「辛勝」でも、超・全面安の地合いでは致し方なしか? ザラ場では1時21分に3455円まで上昇したが、終値は公開価格を7.4%上回る3330円で初日は「まずまずの船出」だった。いきなり5521万株が出来て売買高5位、1808億円が取引され売買代金1位に入り、売買データでは超大物らしいデビュー。一方、最大の関連銘柄と言われてきた図書印刷<7913>は66円安と大幅に3日続落し値下がり率4位。華々しくデビューしたスターの陰で、「私はあの人との思い出を大切にして生きていきます」と静かに身を引くあわれさが観客の涙を誘う映画のヒロインのようだった。(編集担当:寺尾淳)