慰安婦 本人意思に反し集められた事例数多い

2014年10月29日 08:03

 政府は従軍慰安婦問題に対する平成5年8月4日の河野洋平内閣官房長官談話(河野談話)が「事前の韓国側とのやり取り」の影響を受けた内容だったかどうかの正式見解を28日、閣議決定した。民主党の辻元清美衆議院議員の質問主意書に答えた。

 回答では「16人の元慰安婦の聞き取り」が河野談話の内容に影響を与えたかの問いには「元慰安婦からの聞き取り調査終了前に既に談話の原案は作成されていたことを確認している」と回答。「関係省庁における関連文書、米国国立公文書館の文書や軍関係者や慰安所経営者等各方面への聞き取り調査、それから証言集の分析などで出た結果によるものである」と客観性の高いデータ分析のうえで出された談話であることを示した。

 また「事前の韓国側とのやりとりが河野談話の内容に影響を与えたか」についても「政府は、日本側がいわゆる強制連行は確認できないという認識に立ち、それまでに行った調査を踏まえた事実関係を歪めることのない範囲で、韓国政府の意向、要望について受け入れられるものは受け入れ、受け入れられないものは拒否する姿勢で、河野談話の文言をめぐる韓国側との調整に臨んだ」と回答。

 河野談話は韓国政府の意向や要望を受け入れた部分もあるが、受け入れられないものは拒否したうえでの談話であることを明確にした。従って、事実を歪曲し日韓関係修復のために出された文言(内容)ではなく、事実を反映した文言(内容)であることが今回の回答で明確にされた。

 河野談話は「長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった」など状況を盛り込んでいる。(編集担当:森高龍二)