河野談話に吉田証言影響あったか28日政府見解

2014年10月26日 17:42

 慰安婦問題に対する平成5年8月4日の河野洋平内閣官房長官談話(河野談話)は「吉田証言」や「事前の韓国側とのやり取り」の影響を受けた内容だったのかどうかの正式な政府見解が28日、民主党の辻元清美衆議院議員の質問主意書への回答で示される。

 河野談話は「長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった」など、状況を述べたもの。

 吉田証言とは吉田雄兎(ペンネイム・吉田清治)元日本軍人が慰安婦を強制連行した旨の証言を行ったが事実ではなかったというもの。

 辻元議員は10月3日の衆院予算委員会で(1)いわゆる「吉田証言」が河野談話の内容に影響を与えたか(2)「16人の元慰安婦の聞き取り」が河野談話の内容に影響を与えたか(3)「事前の韓国側とのやりとり」が河野談話の内容に影響を与えたかなどを質した。これに菅義偉官房長官は3点すべてについて影響を与えていない旨を答弁した。

 辻元議員は「河野談話は教科書検定基準における政府の統一的見解に該当するか」との問いに、「下村博文文部科学大臣は『談話の内容は検定基準上の閣議決定等により示された政府の統一的見解に該当する』と答弁している。すなわち、教科書に載せられるということを改めて確認した」と自身のホームページで紹介しているが、今回上記3点の件について、政府の見解を改めて確認し、確定させるため質問主意書で回答を求めていた。(編集担当:森高龍二)