またもや「橋下劇場」か。橋下徹氏対議会、橋下氏が頼みとするのは「住民」の意思。しかし今回は、住民もまだどちらの側に付くか完全には決めかねているようだ。
10月27日、大阪市を廃止して特別区に再編する大阪都構想案が、大阪市議会の財政総務委員会、大阪府議会の総務常任委員会の両委員会で自民、公明、民主系、共産の各会派などの反対多数で否決された。否決を受け、都構想を推進する大阪維新の会代表の橋下徹大阪市長と幹事長の松井一郎大阪府知事は同じ内容の案を最提出する方針だ。
大阪都構想案は、特別区を設けるための手続きなどを定めた大都市地域特別区設置法に基づくもので、内容は特別区の区割りや特別区と都(府)と役割分担などだ。この法案は法定協議会で決定されたものだが、対案を示さなかった各会派を排除し維新の会が単独で開催したことで、野党側が口を挟めない中での決定には疑問の声も上がっていた。議会への提出後も審議では特別区への再編について疑問が指摘され続けた。
22日の市議会一般質問では、この都構想案について「三重行政になる」「経済効果が少ない」「特別区の権限が一般市以下になる」という指摘が反対する野党側から出た。これに対して維新は問題がないと反論しているが、どちらも一歩も引かず議論は膠着状態が続いていた。今回の否決で一定の決着が付いたとも言えるが、維新側は住民投票を主張しており、結論はまだまだ見えそうにない。
都構想について肝心の住民たちはどう考えているのだろうか。10月2日の読売新聞は、大阪都構想についての世論調査の結果を伝えている。それによれば都構想に賛成している大阪市民は53%、反対は40%と賛成が反対を上回っている。しかし一方で、橋下氏らが都構想の具体的な内容を十分に説明していると思う人の割合は17%であり、「なんとなく」支持している人が多いことがわかる。説明を尽くしていると考える人の割合が今年2月からわずか6%しか増えていないことは、政局ばかりに光が当たり、実際の政策の中身がないがしろにされている現状を如実に表しているだろう。
大阪が府のまま存続するか、都となり特別区に再編されるか、いずれにせよ最終的に最も影響を受けるのはそこに住む住民たちだ。賛成派、反対派ともに議会での論争より先に丁寧な説明をすべきだ。その上で、住民の意思を問うことが必要になってくるだろう。(編集担当:久保田雄城)