厚生労働省は10月27日、今後人手不足が予想される介護職員を確保するための対策作りに着手した。厚労相の諮問機関にあたる社会保障審議会福祉部会に福祉人材確保専門委員会を設け議論を始める。年内に具体策をまとめて、来年度予算案や来年の通常国会に提出する関連法案に盛り込む予定だ。
2014年時点で日本の65歳以上の高齢者人口は3,296万人で、ほぼ4人に1人が高齢者である。しかも団塊の世代の全てが、65歳以上の高齢者となる15年を超えた後、25年には高齢化がピークを迎える。しかし厚生労働省の試算では、団塊の世代が75歳以上となる25年には約250万人の介護職員が必要とし、現状では約100万人不足。対策が急務となっていた。
今回の会議では、不足する介護の内訳を、都道府県単位でのデータに分けて、より精緻な数値目標を示すとした。その上で、人手確保策も、25年までの要介護者の伸びに合わせ、短期的なものと中長期的なものを作成する。中でも優先するのは介護職員の賃上げだ。厚労省は来年4月に改定する介護報酬で、最大で月1万円程度の賃上げを目指す。
併せて介護の仕事に就きやすいよう、初心者向けの「資格」を創設することを検討する。厚生労働省は、かつてホームヘルパー2級研修に代えて、初任者研修を導入。介護福祉士との間の資格となる「実務者研修」も設けて、介護福祉士へのステップアップを促した経緯がある。
また、厚生労働省と法務省など関係省庁がリレーションを取って、外国人の活用にも動く。これまで日本は、インドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国から介護職員の受け入れを進めているが、なかなか上手くいっていないのが現状だ。インドネシアやフィリピンからの介護福祉士の候補生受け入れは、08~13年度の累計で1091人。合格率は5割ほどと低い。そこで外国人を受け入れる間口をより広げる狙いだ。
介護業界の人手不足の解消に、賃上げと新たな資格の創設、そして外国人労働者の3つの解決策が示された。急務となる介護人材の確保に繋がるか注目である。(編集担当:久保田雄城)