【日経平均】GDPショックが修復され7割戻しの370円高

2014年11月18日 20:16

 ペガサスミシン製造<6262>は公募増資などで最大17億4157万円を調達すると発表して希薄化懸念で3円安。東南アジアでの静脈ビジネス参入の話題が2件。廃棄物処理事業を強化して2018年3月期に東南アジアでの経常利益を2倍にするDOWAHD<5714>は18円高。川崎重工<7012>は日本流のゴミ処理インフラをベトナムで展開すると報じられ14円高。日本を手本に都市インフラを整備したい意向に応える。MUTOHHD<7999>は、子会社のムトーエンジニアリングが3Dプリンターの造形速度を最大2割向上する部品を開発したと報じられ31円高。

 東京都心に近い江東区で見つかった鳥の死骸から鳥インフルエンザウィルスの陽性反応が出て大幸薬品<4574>は182円高で値上がり率5位。東レ<3402>は前日にボーイングから今後10年間で1兆円分の炭素繊維の受注が入ったと発表し売買高11位、売買代金13位に入り37.9円高で年初来高値を更新。テルモ<4543>はみずほ証券が目標株価を引き上げて26円高。臨床検査のみらかHD<4544>とビー・エム・エル<4694>はともに野村證券がレーティングと目標株価を引き下げ、みらかHDは5円安、ビー・エム・エルは20円安。新薬の臨床試験を請け負うシミックHD<2309>は、臨床試験受託のJCLバイオアッセイ<2190>を株式交換で完全子会社化すると発表し58円高。2015年2月25日にジャスダック上場が廃止になるJCLバイオアッセイは19 円高になった。

 前日に別々の国際委員会で大西洋クロマグロの漁獲枠拡大、太平洋クロマグロの絶滅危惧種指定が決まり、それが好材料になったのがマグロ養殖関連銘柄。日本水産<1332>は30円高で年初来高値を更新し値上がり率10位、豊田通商<8015>は42円高、林兼産業<2286>は1円高、ヨンキュウ<9955>は6円高。水産・農林セクターは業種別騰落率トップ。逆に騰落率最下位に沈んだのが石油・石炭セクターで、原油価格が下落する分だけ利益が圧縮される代表銘柄のJXHD<5020>は売買高15位で0.4円安だった。

 イオン<8267>は新しい株主優待策を発表して15円高。神奈川県地盤の家電量販店のノジマ<7419>は後場、携帯電話販売会社第5位のITXを買収すると日経新聞が報じ東証が売買一時停止措置をとった。ノジマが子会社化を発表すると一時ストップ高の120円高で年初来高値を更新した。雑貨中心の小型店「デコホーム」を展開して都市部を開拓し、郊外型店舗と二本立てとするニトリHD<9843>は250円高。

 10月に韓国で「妖怪ウォッチ」を発売するバンダイナムコHD<7832>は103円高。12月16日からJRバス関東が東京都心と成田空港を結ぶ運賃1000円の格安高速バス事業に参入するJR東日本<9020>は248円高。影響を受けそうな京成<9009>も55円高で年初来高値更新。首都圏マンション市場動向調査によると10月の新規発売戸数は10.9%減で9カ月連続減少。不動産セクターは三井不動産<8801>6円高、三菱地所<8802>23.5円高、住友不動産<8830>11.5円高など小幅高だったが、ケネディクス<4321>はJ-REIT人気が波及し売買高、売買代金とも1位と活発に買われ、47円高で年初来高値を更新し値上がり率8位に入った。

 リクルートHD<6098>は三菱UFJ証券が新規に好レーティングをつけ170円高。東映は<9605>は正午前に「東映ニューフェース第2期生」だった俳優の高倉健さんが10日に死去という第一方が入り旧作DVDが売れる思惑なのか15円高。主演作がある松竹<9601>は30円高、東宝<9602>は88円高、『野生の証明』のカドカワドワンゴ<9468>も120円高。死せる健さん、生ける株価を上に走らせ、最後まで大スターの貫禄。

 ゲーム・コンテンツ関連では、12月18日の新規IPOが決まったモバイルゲーム開発のgumi<3903>の株主グリー<3632>が235万株を売り出し、10~12月決算で特別利益を計上の見込みと発表し1円高。同様に株を保有するアドウェイズ<2489>は16円高、セガサミーHD<6460>は17円高、ジャフコ<8595>は175円高、資本提携するフジメディアHD<4676>は12円高。gumiは今年最後の大物IPOになりそう。ネット広告のファンコミュニケーションズ<2461>は総選挙で需要増の思惑で176円高、値上がり率2位だった。

 新興市場は、日経ジャスダック平均は1.35%上昇、東証マザーズ指数は3.18%上昇して高値引け。シノケングループ<8909>は1対2の株式分割を実施と発表し329円高で年初来高値更新。携帯電話用画像処理ソフトのモルフォ<3653>は通期経常利益見通しを2.5億円から3.4億円に上方修正しストップ高比例配分の700円高。オウチーノ<6084>は4万3200株、1億5120万円上限の自社株買いを発表して125円高だった。

 この日の主役はソニー<6758>。「ソニー初のIRデー」という投資家向け説明会を午前10時から開催し、この日は映画、音楽などエンタメ部門が対象。2017年度の経営数値目標として映画分野は売上高100~110億ドル、営業利益率7~8%、音楽分野は売上高48~52億ドル、営業利益率10.5~11.5%と発表。ともに2014年度見通しの営業利益率は6.6%、9.8%と好調だが、映画分野は2015年度末までに3億ドル目標のコスト削減を行う。平井一夫社長は「早期復配を目指す」と上場以来初の無配転落を詫び、業績を早期に立て直すために「規模を追わず利益確保を重視した事業運営を進める」と強調。株価は三菱UFJ証券がレーティングと目標株価を引き上げたこともあり、一時は値上がり率ランキングにも顔を出して売買代金5位、149.5円高と反発し年初来高値を更新した。巨額赤字の元凶といわれるスマホ事業などエレクトロニクス部門の投資家向け説明会(IRデー)は25日開催の予定で、おそらくその日のほうが正念場だろう。(編集担当:寺尾淳)