日本共産党は27日までに「消費税に頼らない財源」の確保策を発表した。共産党は「消費税創設以来26年間で税収は282兆円にのぼるが、ほぼ同時期に法人3税は254兆円、所得税・住民税も248兆円減っていた。不況による税収の落ち込みに加え、大企業、富裕層への減税が繰り返されたから」と指摘している。
そのうえで「富裕層や大企業への優遇をあらため、『能力に応じた負担』の原則をつらぬく税制改革をすすめる」としている。
この中で「所得税は所得が高いほど負担率が高くなるはずなのに、実際には所得が1億円程度を超えると負担率が下がってしまう。法人税も実質負担率が中小企業は25%、大企業は14%と不平等になっている。富裕層や大企業にはさまざまな優遇税制が適用されているからだ」とし「能力に応じた負担の原則に立った税制改革をすすめれば、公共事業や軍事費などの歳出の浪費(約2.9兆円)をなくすこととあわせて約20兆円の財源を確保できる」と提起する。
例示に、共産党は「トヨタ自動車は2008~2012年度の5年間、法人税(国税)を1円も納めていなかった。法人税の法定実効税率は約35%だが、実際には10%、20%台の税金しか納めていない大企業が多数ある。さまざまな優遇税制の恩恵を受けているから」とし「他の企業から受け取った配当の一部または全部を非課税とする受取配当益金不算入制度(1兆4000億円)、海外にある子会社からの配当を非課税にする海外子会社配当益金不算入制度(6000億円)」などを例示した。
また、「大企業の内部留保の一部を活用し、国民の所得を増やす経済改革で、税収を増やす」とし、「アベノミクスでは円安効果で大企業に巨額の利益、株高で富裕層に恩恵をもたらしましたが、働く人の実質賃金は15か月連続で減少するなど、景気悪化と格差拡大を引き起こしている」と提起。
そのうえで「派遣労働は臨時的・一時的な業務に厳しく限定する、非正規と正社員との不当な格差を是正するなど非正規から正社員への流れをつくる。残業時間の上限を法律で規制するとともに、『サービス残業』根絶法を制定する。中小企業への抜本的な支援と一体で最低賃金を大幅に引き上げる」としている。
「能力に応じた負担の原則をつらぬく税制改革で20兆円、国民の所得を増やす経済改革による税の自然増20兆円の財源を確保すれば、今後10数年で社会保障の抜本的拡充をはじめ、教育や暮らし向上のための施策に取り組みながら、財政の健全化をすすめていくことが可能になる」と算段している。(編集担当:森高龍二)