【日経平均】円安を味方に高値引け411円高17600円台回復

2014年12月19日 20:28

 富士フイルムHD<4901>は、古森重隆会長兼CEOが日経新聞のインタビューで2018年以降に複数の新薬を発売し医薬品事業を拡大する方針を明らかにし112.5円高。抗がん剤やアルツハイマー治療薬の治験を進め、インフルエンザ治療薬「アビガン」の増産に踏み切る準備もしている。大塚HD<4578>傘下の大塚製薬は前日、サプリメントの製造販売を行うアメリカのフードステイト社を買収と発表。世界で展開するサプリ事業の基盤を強化する。大塚HDは90円高。

 マルハニチロ<1333>は冷凍食品「そばめし」からプラスチック片が発見されたため2.5万食を自主回収と発表し9円安。ケガした人はいない。水産・農林セクターは唯一のマイナス業種だった。明治HD<2269>は270円高で年初来高値を更新。日経産業新聞のインタビュー記事で松尾正彦社長が、2018年3月期を最終年度とする3カ年の次期中期経営計画で売上高営業利益率を5%以上、配当性向を30%以上に高めると発言していた。

 大阪の電子部品商社のダイトエレクトロン<7609>は、アメリカのアナログ・デバイセズ社日本法人と指定販売代理店契約を締結と発表。さらなる市場拡大が見込まれ一時ストップ高の40円高で年初来高値を更新し値上がり率5位。セブン&アイHD<3382>は3~11月期の営業利益が過去最高を更新する模様という業績観測記事が出て87円高。クスリのアオキ<3398>は60円高で3日続伸し年初来高値更新。6~11月期の連結営業利益は25.3%増の37億円と発表。同業のゲンキー<2772>は元気に一時ストップ高の720円高で値上がり率2位に入った。

スカイマーク<9204>は搭乗率が低迷する米子空港発着便(神戸行・那覇行)から撤退する検討を始めたと報じられ18円安で値下がり率7位。大手2社との共同運航前に路線を整理して収益性向上を図る。ANAHD<9202>は1.8円高、JAL<9201>は20円高だが空運セクターは業種別騰落率32位。

 野村総合研究所(NRI)<4307>は4~12月期の営業利益が3%増の370億円強という業績観測が出て125円高。電通<4324>は東京・中央区に保有する固定資産を売却して3月期決算で特別利益約294億円を計上する見込みと発表し40円高で年初来高値更新。「バイトルドットコム」など求人情報のディップ<2379>は2月期単体の営業利益は前期比2.3倍の40億円程度で2期連続で過去最高益更新という業績観測で145円高で3日続伸。配当は従来予想を15円上回る60円程度の見込みで、前期の23円から大幅増益。「ガンダム」の権利を持つアニメ制作会社の創通<3711>は、2017年8月期をメドに現在2%程度の海外売上高比率を10%に引き上げると報じられ96円高。日本のアニメが人気を博すアジア諸国を中心に拠点を開設する。

 ゲーム関連銘柄ではマーベラス<7844>に異変発生。15日にリリースされたスマホゲームアプリ『ディズニー・マジックキャッスル・ドリームアイランド』は、連日アクセスが集中してなかなかダウンロードできない人気ぶりだが、不具合が見つかって一時配信停止に追い込まれた。好事魔多しで181円安で値下がり率1位。売買高は5位、売買代金は2位。ミクシィ<2121>は「モンスターストライク」の世界累計利用者が17日に2000万人を突破したと発表すると後場プラスに転じて60円高だった。

 新興市場は、日経ジャスダック平均は0.92%上昇、東証マザーズ指数は1.38%上昇して順調。ペプチドリーム<4587>は、スイスのノバルティス社とターゲットタンパク質に対する特殊ペプチドの創製に関する創薬共同研究開発契約の再延長で合意したと発表。ノバルティスから新しく共同研究開発費を受け取ることになり340円高になった。

 新規IPOは2件。東証1部に水と環境の総合エンジニアリング企業、メタウォーター<9551>が直接、新規上場した。大手の日本ガイシ<5333>、富士電機<6504>が出資して2008年4月に発足した。公開価格2400円に対し9時9分、6.0%低い2256円の初値がつき、今週4回目の黒星。高値は2349円、終値は2240円のストップ安の安値引けで公開価格を一度も上回れなかった。東証マザーズにパーソナライズ・エンジン「デクワス」を利用してEC事業者、小売業向けのネットマーケティング支援サービスを提供するサイジニア<6031>が新規上場した。公開価格2560円に対し2時3分、2.26倍の5780円の初値がついた。終値は4780円。今週の14件は全て上場初日に初値がついた。

 この日の主役は業種別騰落率トップになった不動産セクター。「御三家」の三井不動産<8801>は138.5円高、三菱地所<8802>は121円高、住友不動産<8830>は223.5円高。ケネディクス<4321>は売買高11位で30円高、ヒューリック<3003>は76円高で値上がり率7位、サンフロンティア不動産<8934>は71円高で同8位だった。新興市場でもレーサム<8890>が77円高、いちごHD<2337>が16円高など威勢が良かった。アベノミクス初期はもてはやされ、その後は隅に押しやられたセクターだが、年明けには「アベノミクス2.0」が本格始動するので、そろそろ見直されてもよい頃。(編集担当:寺尾淳)