つくば国際スポーツアカデミーは筑波大学が母体で、スポーツを教育、科学、医学などの多方面から学ぶことが可能。運動選手そのものを育成・強化するというより、スポーツ界全体をけん引していくようなリーダー的人材を育てるのが狙い。
つくば国際スポーツアカデミー(Tsukuba International Academy for Sport Studies:以下、TIAS)は来年度の入学者を対象とした新しい奨学金プログラムを創設したことを12月11日に明らかにした。
このTIASとは筑波大学が母体で、スポーツを教育、科学、医学などの多方面から学ぶことが可能。運動選手そのものを育成・強化するというより、スポーツ界全体をけん引していくようなリーダー的人材を育てるのが狙い。
20年に東京五輪が控えているが、スポーツにおいて国際的に求められる考え方とは一体何なのだろうか。1つの考えるポイントとして、「選手の身体を守る」ということが挙げられるではないだろうか。
男子フィギュア、羽生結弦選手の衝突事故や、今年の夏の全国高校軟式野球選手権大会の中京と崇徳の試合を単なる「美談」で終わらせることなく、「選手の身体を事故や病気からどのように守るのか」という視点で見ることが必要ではないだろうか。NHKの調べによると、10代の女子選手に疲労骨折が増えているという。厳しいトレーニング、食事制限により身体のバランスを崩し、無月経に陥ってしまうためだ。月経のない状態が長く続くと、女性ホルモン、エストロゲンの分泌が低下する。このホルモンは骨の形成に大きく影響していて、分泌が低下すると骨粗しょう症を招く。トレーニングを積むことが難しくなると、選手生命が絶たれてしまうことになる。
厳しいトレーニングから国際的に活躍するスター選手が生まれる側面、体を壊してメンタル的にも追い込まれてしまう選手がいる。スポーツを「結果が全て」「勝ち負けが重要」という点だけにこだわらない人材が国際的に求められているのではないだろうか。
また、スポーツを経済的・経営的な側面から見る視点も必要であろう。1984年に行われたロサンゼルス五輪は税金を投入せず、商業的価値を高めて成功した。スポーツの価値を全て商業的価値に置き換える必要はないが、経済的に困窮していたらトレーニングや試合に集中できるだろうか。設備の安全性を高め、栄養価の高い食事を選手に提供するにはやはり財源が必要だ。
多様な視点から、多様な人たちに対応できるスポーツを未来につなげていける人材が今後出てくるに違いない。(編集担当:久保田雄城)