慰安婦報道で日本貶められた、自民動き強化か

2014年12月24日 09:07

 佐藤正久元防衛大臣政務官は23日、WEBサイトで朝日新聞の慰安婦報道検証委員会の報告書が明らかになったことを受けて「政治的意図を持って角度をつける朝日新聞、慰安婦報道で貶(おとし)められた日本の名誉回復が大事」とのタイトルで「国際的に影響を与え、日本と日本国民の名誉が不当に貶められたことは許し難い」と問題提起。

 「名誉を回復する為にも国連機関や国際社会に事実を持って働きかけを強化する必要がある。朝日新聞への批判だけでは意味がない。自民党政調でも動きを強化する」と党内での動きを活発化させる姿勢を示した。
 
 佐藤元政務官は「吉田証言等に基づき、慰安婦が組織的に強制連行されたかのような記事を(朝日新聞は)頻繁に掲載したが、裏づけ事実の検証はほとんどしていない。旗色が悪くなると議論すり替えに終始した。旧日本軍による組織的な慰安婦強制連行が確認できないと批判が強まると『真偽は確認できない』と修正し、強制性については軍ではなく民間業者が騙して連れて行ったとしても『本人の意思に反して慰安所で働かされた広義の強制性はあったと『狭義』から『広義』へと強制性の議論のすり替えを行った』と批判した。

 自民党内には河野談話や村山談話への批判がくすぶり続けているが、政府は慰安婦をめぐる河野洋平官房長官談話や過去の植民地支配を認めた村山富市首相談話については吉田証言は反映されていないとの答弁書を閣議決定しており、公式な政府見解で吉田証言の影響は河野談話にはないとしている。

 河野談話は「長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった」など、状況を述べている。

 一方、吉田証言は吉田雄兎(ペンネイム・吉田清治)元日本軍人が慰安婦を強制連行した旨の証言を行ったが事実ではなかったというもの。

 吉田証言が河野談話に影響を与えたかどうかでは、今年10月の衆院予算委員会で民主党の辻元清美議員が(1)いわゆる「吉田証言」が河野談話の内容に影響を与えたか(2)「16人の元慰安婦の聞き取り」が河野談話の内容に影響を与えたか(3)「事前の韓国側とのやりとり」が河野談話の内容に影響を与えたかと質し、菅義偉内閣官房長官は3点すべてについて影響を与えていない旨を答弁。その後の質問主意書に対しても「影響を与えていない」との政府答弁を閣議決定。菅官房長官は「河野談話の見直しはしない。総理も国会で明言している」とこれまでの歴史認識を政府として引き継ぐ考えを明言している。(編集担当:森高龍二)