【日経平均】テーマ物色されても主力株売買低調で10円高

2014年12月26日 20:12

 丸紅<8002>は、2017年3月期の純現金収支を黒字化し配当性向も引き上げると発表したが、来々期の話なので6.9円高と小幅上昇。百貨店の大丸、松坂屋のJフロントリテイリング<3086>は3~11月決算を発表し、富裕層向け商品が好調で経常利益が1割増益でも33円安。しまむら<8227>は値下げの悪影響で3~11月期の純利益が9%減になり70円安。ウェザーニューズ<4825>は6~11月期で2年連続最高益を更新し115円高だった。

 業種別騰落率2位の建設セクター、3位の不動産セクターは1月1日からの相続税、贈与税の改正を前に「相続税対策」テーマで物色された。賃貸アパートのレオパレス<8848>は42円高で年初来高値更新。国内の賃貸住宅事業で稼ぐ積水ハウス<1928>は11.5円高。消費税と違って相続税は相続が発生しないと課税されず極端な「駆け込み需要」は起きないが、「いつか来るその時」に備えたいというニーズはこの先も長く続きそうだ。

 この日ならではの値動きが主力銘柄に発生。それは12月決算銘柄の配当権利落ちによる下落で、キヤノン<7751>は売買代金6位で99円安、花王<4452>は77.5円安、ブリヂストン<5108>は売買代金16位で35円安、横浜ゴム<5101>は36円安、キリンHD<2503>は59円安で値下がり率13位、JT<2914>は売買代金15位で60.5円安、昭和電工<4004>は売買高6位で5円安、トレンドマイクロは175円安で値下がり率7位、ポーラオルビスHD<4927>は170円安で同15位。3月期決算銘柄の配当権利落ち日よりは影響は小さいが、12月決算の銘柄群は今や、時価総額ベースでは2月期決算をしのぐ第2の勢力になっている。

 新興市場は日経ジャスダック平均は1.40%上昇、東証マザーズ指数は4.60%上昇。ロボット関連は、東京都が前日発表した「長期ビジョン」の政策目標に介護や案内支援でロボットを実用化するとあったため買いが入り、サイバーダイン<7779>は165円高、菊池製作所<3444>は135円高、ハーモニックドライブ<6324>は75円高だった。

 新規IPOは今年最後の1件。東証マザーズにネットを活用した医療人材紹介事業を行うMRT<6034>が新規上場した。この日は初値がつかず公開価格800円に対し2.3倍の1840円の買い気配で終了し29日に持ち越し。前日、東証マザーズに新規上場して初値がつかなかったカヤック<3904>は公開価格560円に対し10時16分、3.21倍の1803円の初値がついた。終値は1950円と好調。同じく東証マザーズのエクストリーム<6033>は公開価格1400円に対し11時16分、3.96倍高い5550円の初値がついた。終値は6460円とこれも好調。

 この日の主役はロボットと並ぶ近未来の期待のテーマ「水素関連」。15日にトヨタから初の燃料電池市販車「MIRAI」が発売されたが、重要な水素の補給インフラの部分で材料が出た。水素ステーションはガソリンスタンド(GS)と同じような「定置式」ではおよそ4~5億円の初期費用がかかるが、大陽日酸<4091>は1~2億円と約半額でGSと同程度ですむ「移動式スタンド」を展開すると報じられ66円高。一方、JXHD<5020>は、神奈川県海老名市の既存GSに定置式の第1号ステーションをオープンさせ、水素を1キロ1000円で販売開始したが1.3円安。経済産業省は水素ステーションの規制緩和も進めており、政府は補正予算でその運営費補助に100億円を計上と報じられ、関連銘柄筆頭格で水素ステーション網を持つ岩谷産業<8088>は23円高、三菱化工機<6331>は14円高。水素製造プラントを手がける川崎重工<7012>は5円高、千代田化工建設<6366>は18円高だった。この日は「電線地中化」「ロボット」「水素」など、テーマ銘柄物色が旺盛な日だった。(編集担当:寺尾淳)