【日経平均】後場エボラ出血熱をネタにゲリラ急落89円安

2014年12月29日 20:16

 ダイヘン<6622>は三菱UFJ証券がレーティングを引き上げて29円高で年初来高値更新。オリンパス<7733>は26日、損害賠償を請求していた機関投資家との間で43.6億円を支払うことで和解が成立したと発表した。和解金は全額4~12月期の特別損失に計上するが、通期業績見通しは現時点では修正しない。株価は55円安。医療機器レンタルの山下医科器械<3022>は6~11月期の業績見通しを、営業利益は4500万円から1億7600万円に、経常利益は8900万円から2億1400万円に、純利益は6000万円から1億2000万円に上方修正して52円高。収益源の消耗品が伸びているという。

 関西電力<9503>と東京ガス<9531>が燃料調達、火力発電所の建設、電力の相互融通などを柱とする提携交渉に入ったと報じられ、関西電力は6円安、東京ガスは6.8円高。すでに提携した東京電力<9501>と中部電力<9502>に対抗する大型再編。東京電力は売買高、売買代金とも2位と買われ22円高、中部電力は16円高で年初来高値を更新した。電気・ガスセクターは業種別騰落率第2位に入っていた。

 個人投資家に人気の中堅建設株は三井住友建設<1821>は売買高1位、売買代金9位に入り4円高で年初来高値更新、熊谷組<1861>は売買高8位に入り14円高、飛島建設<1805>は7円高だった。大和ハウス工業<1925>、東レ<3402>などが出資するエリーパワーは、約200億円で蓄電池工場を関西に新設し供給能力を最大4倍に増やす計画が伝えられ、大和ハウス工業は6.5円高、東レは1.2円高。ヤマダ・エスバイエルホーム<1919>は「住宅エコポイント」の再開期待で買われ10円高で値上がり率4位。

 北興化学工業<4992>は11月期通期の純利益見通しを6億円から10億円に上方修正し27円高で値上がり率11位。大日本住友製薬<4506>は国内工場を4ヵ所から2ヵ所に集約するリストラ策が報じられ12円安。サッポロHD<2501>は12月期の営業利益が9%減で従来見通しを10億円下回るという業績観測記事が出て5円安。大口テナント退去で不動産賃料収入減少と報じられた。「恵比寿ガーデンプレイス」は10月に開業20周年を迎えたが、20年でも古すぎる?

 九州の建材卸のOCHIHD<3166>は後場に一時ストップ高まで急伸し256円高で年初来高値を更新し値上がり率2位。一正蒲鉾<2904>もほぼ同じ値動きで一時ストップ高の377円高で年初来高値を更新し値上がり率1位。この両銘柄は11月に東証1部に指定替えになっており、30日からTOPIX構成銘柄に組み入れられるためリバランス買いが入っていた。

 高島屋<8233>は26日に3~11月期決算を発表。営業収益は1%増、国内百貨店既存店売上高は0.6%増、営業利益は8%増、純利益は23%増と好調だが19円安。訪日客の「インバウンド消費」が免税品売上1.5倍と業績を牽引し、高額商品や外商も堅調。2月期通期見通しは売上高1%増、営業利益10%増、純利益15%増で据え置き。宝飾品販売のヨンドシーHD<8008>は3~11月期の営業利益が過去最高で11円高。ドラッグストアのゲンキー<2772>は12月の月次売上高が7.4%増で60円高。日本マクドナルド<2702>は「マックフライポテト」のM、Lサイズの販売を1月5日から再開すると発表したが29円安だった。

 東京都内に高収益の不動産物件を保有するツカモトコーポレーション<8025>は11円高で値上がり率7位。2%を超える予想配当利回り、0.5倍台の低PBRなど個人投資家が好きそうな要素たっぷり。東京急行電鉄<9005>は2016年に全面自由化される家庭向け電力小売事業への参入を発表し3円高。東急系CATVのイッツ・コミュニケーションズを通じて割安な電気を供給する。鉄道会社では初めて。名鉄<9048>、近鉄<9041>、三井不動産<8801>は2000億円を投じて名古屋駅前に大型ビルを建設すると報じられ、名鉄は4円高、近鉄は2円高、三井不動産は21.5円安。リニア中央新幹線が開通すると東京-立川間ぐらいの時間距離になる。JR東海<9022>は110円高で年初来高値更新。

 ゲーム・コンテンツ関連ではLINE関連のエムアップ<3661>が「ふなっしー」の年賀スタンプを配信と発表したのを好感されヒャッハーと62円高で値上がり率6位。新興市場は日経ジャスダック平均が0.40%上昇、東証マザーズ指数が0.48%上昇と悪くなかった。直近IPO銘柄はU-NEXT<9418>が290円高、ビーロット<3452>は1040円高だったがカヤック<3904>は240円安。C&Gシステムズ<6633>は55万株、3億円上限の自社株買いを発表し47円高だった。

 26日の新規IPOで当日は初値がつかなかった東証マザーズのMRT<6034>に11時27分に初値がつき、公開価格800円に対し4.09倍の3275円の初値がついた。終値は3100円。これで2014年の新規IPOは全て初値がつき、公開価格に対する星取は59勝15敗3引き分けで勝率は76.6%だった。

 この日の主役は後場、降ってわいた急落の原因とされた「エボラ出血熱」関連銘柄。主力銘柄に逆行高し、防護服のアゼアス<3161>はストップ高の100円高、エアカーテンの日本エアーテック<6291>もストップ高の100円高で値上がり率3位、サーモグラフィーの日本アビオニクス<6946>は37円高、マスクの重松製作所<7980>は67円高、関連銘柄の大御所、「アビガン錠」の富士フイルムHD<4901>は売買代金4位に入り13.5円高だった。2014年は新型インフルエンザ、鳥インフルエンザ、デング熱にエボラ出血熱と、疫病に振り回された1年だった。(編集担当:寺尾淳)