現在世界の研究機関や企業は、第四世代原子炉と呼ばれる、安全で廃棄物も少ない次世代型の原子炉の研究開発でしのぎを削っている。その次世代型原子炉の中で最も実用化に近いのが、日本がリードする「高温ガス炉」である。
現在世界の研究機関や企業は、第四世代原子炉と呼ばれる、安全で廃棄物も少ない次世代型の原子炉の研究開発でしのぎを削っている。その次世代型原子炉の中で最も実用化に近いのが、日本がリードする「高温ガス炉」である。福島のダメージから立ち直れない日本の「安全な」原発は、果たしてどうなっていくのであろうか。
福島第一原発の事故以来、日本では原子力発電所の新規開発はおろか、再稼動すらままならない状態が続いている。ところが世界では、第四世代原子炉と呼ばれる新型の原子炉の研究開発が急ピッチで進められている。化石燃料の枯渇や地球温暖化が進む中、二酸化炭素の排出を減らすためにも原子力発電への注目が高まっているのだ。第四世代原子炉の特徴は、高い安全性や少ない廃棄物などだが、まだ実用化に程遠いものも多い。
その中で、最も実用化に近いといわれているのが高温ガス炉と呼ばれている原子炉である。高温ガス炉とは、水の代わりに気体の一種であるヘリウムで冷やすというもの。熱効率が高く、水がなくても温度が上昇しない。つまり東日本大震災のような災害にあっても危険性が低く、砂漠にも作れるということだ。日本がその開発で先行しており、その全ての技術を国産でまかなえる。
しかしながら、日本では前述の通り原子力発電所の新規開発はもとより、既存の原発の再稼動すらままならない状態である。また「安全な原子炉」と言われても疑心暗鬼な部分もあるだろう。世界から注目を浴びても、国内での新設は非常に難しいと言わざるを得ない。また日本での研究開発も、現在の状態では地域住民の説得や、予算確保すら難しいかもしれない。
そういった中で、中国やアメリカ、韓国は着々と高温ガス炉の開発を進めている。現在全世界で81 機の原発が建設中、100基の原発が計画中という中、一刻も早く新型の原発を開発し、シェアを伸ばしたいという意図があるのだろう。
日本は震災以降、原発についての国策の変更を余儀なくされている。すでに世界をリードしている原発技術をさらに発展させていくのか、それとも他の技術で世界を変えていくのか、日本の舵取りに注目していきたい。(編集担当:久保田雄城)