書店の減少が深刻化している。1999年時点では全国約22200店あった書店は2014年時点では約13700店まで減少した。15年間で8500店が閉店、現在も全国で1日あたり1店舗が閉店している状況だ。新刊書籍を扱う書店がゼロになってしまった自治体は332市町村に上り、全国自治体の20%にもなっている。
書店の減少が深刻化している。1999年時点では全国約22200店あった書店は、2014年時点では約13700店まで減少した。15年間で8500店が閉店、現在も全国で1日あたり1店舗が閉店している状況だ。減少のペースはここ10年間変らず歯止めがかかる兆候はない。このまま行けば、10年後には日本の書店数は1万店を割り込むだろう。
昨年時点での書店数は全国約13700店だが、これは大型書店の本部や営業部、外商部、現在は店舗営業をやめて近隣の小中学校などに教科書を納めているだけの地域小規模店なども含んだ数字だ。実際に開業している書店数はさらに少なくなる。閉店に追い込まれている書店の多くは、地方の中小規模書店、いわゆる昔からある「町の本屋さん」だ。地域自体の人口減少による利用減や、地域小規模書店の売上の中心である雑誌や新刊コミックの販売がコンビニに奪われてしまっていること、ネット通販の拡大、さらには書店主の高齢化と後継者不足など、要因は多岐に渡り解決は困難だ。
出版社アルメディアの調査によると、新刊書籍を扱う書店がゼロになってしまった自治体は14年時点で332市町村に上り、全国自治体の20%にもなっている。しかもその332市町村のうち70%が、日本創世会議が「消滅可能性都市」と指摘した自治体と重なっている。地域の書店が減少すれば、子どもが本にふれる機会も自ずと減ってしまう。いくらネット通販やコンビニがあるといっても、実際の紙書籍にふれて選ぶ機会が減ることは、知識や想像力、教育の機会喪失と同義だろう。図書館や学校図書もあるとは言え、地域の書店が減少することは、そうした図書館などの品揃えの脆弱化にも影響する。少子化や人口減少に歯止めの止まらない消滅可能性都市と書店ゼロ自治体の比例は、地方の子育て・教育環境の厳しさを如実に物語っていると言えるだろう。
一方、書店数は減少しているが、一書店あたりの坪数は年々拡大していっている。都市部や郊外のショッピングモールなどを中心に、大型書店を出店する傾向が高まり、雑誌やコミックから専門書までを扱うタイプの書店が増えてきている。消費者の傾向としても、ネット通販で手軽に買いつつも、リアル書店に足を運ぶ際には、品揃えが豊富で新たな発見の多い大型店を選ぶという人が多いようだ。需要と供給という形ではマッチしているが、その裏で大型店近隣の中小規模個人書店の閉店は続いている。
また、そうした大型店舗はチェーン店が多いが、安定した売上を保ち続けられているかというと難しい場合が多いようだ。出店後数年すると売上が落ち始め、その負債を埋めるために新たな大型店を違う場所に出店するという自転車操業に陥る危険もある。近年では、そうした結果、大型書店チェーンの旗艦店が撤退するケースも少なくない。
本は「再販制度」により定価より安く売ることはできない。その代り在庫の返本が可能という特性もあり、他の業界とは異なる特殊なルールに書店側が縛られている面がある。もちろんそれにより、書店やそこで働く従業員が守られていることも否定できないが、時代に合わせ根本的なルールを変えなくては、業界の縮小自体を止めることができない時期にさしかかっているのかもしれない。新たな知識を「手に取って見られる」場所として、書店をより良い形で残していく方法を、業界も消費者も考えなくてはならないだろう。(編集担当:久保田雄城)