日本経済団体連合会は農業の持続的発展と競争力強化、成長産業化に向けた提言を18日までに行った。農産物・食品の輸出拡大などを提言するとともに、農業就業者の高齢化と耕作放棄地の増加を抑制し、農業基盤の確立をはかるために企業の農業参入を促進できる環境づくりを求めている。
経団連は「農業の潜在力を再認識しつつ、中長期的な視点に立った施策を展開する必要がある」とし「経済界としても農業の競争力強化・成長産業化に資する施策について改めて整理し、着実な実施を強く働きかけていきたい」と趣旨を説明。
提言では食料・農業・農村基本計画について「将来にわたって持続性を確保し、国際競争力のある成長産業とするために生産基盤を確固たるものとしなければならない」とし「現在、農業従事者の平均年齢は66.2歳と高齢化が進行しており、1990年に482万人だった農業就業人口は2010年には261万人にまで減少している。耕作地面積は減少する一方で、耕作放棄地は滋賀県(約40万ヘクタール)と同程度の面積になるまで拡大している」とし「こうした状況に歯止めをかけられるよう、法人をはじめ新たな担い手の確保や人材育成の強化、農地集積の推進等に関して、従来の発想に囚われない大胆な政策に取り組むことが必要」としている。また「革新的な取り組みを推進する主体に対しては重点的に支援すべき」と生産基盤の確保を促進するよう提言した。
また「マーケットの動向や新たな流通構造を十分に把握し、戦略的に取込んでいくことがさらなる成長を目指す上での鍵を握ることから、より付加価値の高い農産物・食品を生産から加工・販売に至るまで一貫して提供できる環境を整備していく必要がある」とした。
提言で、経団連は「生産基盤を強化するためには効率的かつ安定的な農業経営を実践できる経営体を広く確保していかなければならない」とし「農業従事者の高齢化や後継者不足が深刻化するなか、大規模家族経営や農業経営の法人化の推進とともに、高い技術力や資金力、優れた経営感覚を持つ企業の参入を促進していくことが不可欠。企業・法人による参入が促進されれば、地域における雇用の拡大等、活性化に寄与することとなる」と企業の農業参入促進を図ることが、農業基盤を強化し、地域の雇用拡大にもつながると訴えている。
また、企業による農地所有について「基本計画では企業を農業経営の重要な担い手として位置づけ、時期を含め、企業による農地所有の可能化を明確に示すべき」とし、農業生産法人を通じた企業参入を促進できるよう「農業生産法人の構成員要件についても、企業が過半の議決権を取得できるよう規制緩和することも必要」と企業参入の道を広げるよう提案している。(編集担当:森高龍二)