海外での武器弾薬提供は「後方支援」の疑問

2015年01月24日 16:37

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政府は集団的自衛権行使に関する歴代内閣の憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行うとともに、日本を取り巻く安全保障環境が大きく変わったとして、切れ目のない安全保障体制の構築をかかげ、今春の統一地方選終了後、安保法制見直しの諸法案を通常国会に一括提出し、成立を図ることにしている

 政府・自民党は自衛隊の海外派遣を随時、迅速に可能にするため『周辺事態法』を改正する方針で調整しているという。

 問題はその中身。法の名称も変更の方針らしいが、その意図は「後方支援の対象を米軍以外の他国軍にまで広げ、派遣地域を地理的に制限しないようにする(内容を盛り込む)」ので、周辺事態法では法の中身と乖離する名称になるためとみられる。

 政府は集団的自衛権行使に関する歴代内閣の憲法解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行うとともに、日本を取り巻く安全保障環境が大きく変わったとして、切れ目のない安全保障体制の構築をかかげ、今春の統一地方選終了後、安保法制見直しの諸法案を通常国会に一括提出し、成立を図ることにしている。

 一部報道によると周辺事態法改正案では(1)現に戦闘行為を行っている現場でなければ、自衛隊の他国軍支援を可能にする(2)海外派遣には原則、国会承認が必要だが、事後承認も認める(3)武器弾薬の提供や発進準備中の飛行機への給油・支援活動を可能にするなどが検討されているという。

 戦場エリアでも実際に戦闘状態でない限り、支援活動を可能にするわけだが、戦闘状態に巻き込まれれば武器使用し応戦しながらその場から離れることになるのか。戦闘状態に巻き込まれて、その場を離れることが可能か、加えて、武器弾薬を提供する日本の自衛隊を攻撃対象にしないとは到底、考えられない。戦闘相手にすれば殺傷する武器を提供する日本の自衛隊は「敵対相手そのもの」の認識だろう。

 後方支援の自衛隊でなく、一体的に受け取られると認識したほうが自然だ。しかも、これだけリスクの高い『周辺事態法の改正』による海外派遣であるなら、国会承認の「事後承認」は認めるべきでない。

 いかに迅速な派遣が必要だとしても、派遣の必要性を政府が国会で説明し、国会の承認を事前に得て派遣する手続きを取るべきだろう。

 今後、具体案が政府と自民・公明の間で協議され、その後、国会での議論が本格化するだろうが、「国際紛争を解決する手段としての戦争を永久に放棄する」日本のこれまでの歩みを厳守し、その立ち位置から、世界から信頼される「積極的平和戦略・平和外交」を構築する知恵を是非とも絞りだしてほしいと願う。(編集担当:森高龍二)