「起業家」は「小さな企業」から生まれる確率が高い?

2015年02月07日 13:37

 スマホの普及でネット関連ビジネスに注目が集まり、「起業ブーム」が訪れている。日本政策金融公庫総合研究所が、全国の18歳から69歳までの男女19万7009人を対象に実施した調査では、起業に関心がある「起業予備軍」は15.7%と、6人に1人にのぼった。調査によると、「起業家」(2009年以降に自分で事業を開業し、現在も経営している人)は1.4%。「起業予備軍」は15.7%なので、起業家の10倍以上いることになる。女性よりも男性の方が、また年齢が若い方が、「起業に関心あり」の割合が高かった。年齢が高まるにつれて、「以前は起業に関心があった」人の割合が増えていく。若い頃に起業を志したものの、断念する人も多いようだ。

 性別では、男性は起業家が2.2%、起業予備軍が19.9%を占め、女性は起業家が0.6%、起業予備軍が11.6%だった。職業(起業家については「開業直前の職業」)を見ると、起業家の場合は「会社や団体の常勤役員」(10.9%)、「正社員・職員(管理職)」(33.3%)の割合が他の類型と比べて高い。起業を志す予備軍は、「正社員・職員(管理職以外)」(36.7%)、「学生」(8.5%)の割合が高く、起業に無関心な層は「専業主婦・主夫・無職」(29.3%)が高かった。専業主婦や無職の人よりも、会社勤めをしながら起業を目指す人の方が多いようだ。

 勤務先の規模はどうだろうか。企業規模が「19人以下」の割合は、起業家が36.7%と最も高く、次いで起業予備軍(23.1%)、起業無関心層(16.6%)の順となっている。起業家は「小さな企業」から生まれる、ともいえる。年収は、起業家で「700万円以上」の割合が23.3%、「500万円以上700万円未満」の割合が17.2%と、いずれも起業予備軍、起業無関心層よりも高い。実際に起業する人は、これまで小規模企業で役員・管理職だった人が多いためか、年収も高い傾向にある。

 ただ、彼らの開業費用は「100万円未満」が56.3%、現在の従業者数は「1人(自分のみ)」が7割弱を占めており、小さく始めるケースがほとんどだ。起業家たちに聞いた1ヶ月あたりの売上高も、「30万円未満」が4割を占めた。さらに、7割の起業家は何らかの副収入を得ていることも判明。起業家の多くは、リスクを分散して堅実にビジネスを進めているようだ。(編集担当:北条かや)