矢野経済研究所は、国内におけるデータセンター事業の調査を実施し、16日にその結果を発表した。国内データセンターの総床面積は、2011 年度~2017年度の年平均成長率(CAGR)3.7%で推移し、2017年度には247万m2 に達するという。
この調査は、調査期間は2014年8月~2015年1月に行われ、調査対象はアウトソーシング事業者、データセンター専業者、建設会社、設計会社など。調査方法は同社専門研究員による直接面談、電話・電子メールによる取材、ならびに文献調査を併用した。調査におけるデータセンターとはIT事業者が顧客のサーバーなどのIT機器を預かり、または自社所有のサーバーを活用し、インターネットへの接続回線やシステム運用保守サービスなどを提供する施設をさす。なお、IT 事業者間での OEM 供給による重複分や一般企業(ユーザー企業)が保有するサーバー室などの床面積は含んでいない。
それによると、国内データセンターの総床面積は、2011 年度~2017 年度の年平均成長率(CAGR)3.7%で推移し、2017年度には、247万m2 に達すると予測した。2012年度~2013年度にはデータセンターの竣工が多かった一方で、2014年度のデータセンターの新設はいったん落ち着いた。しかし、2015年度以降はIT 事業者各社によるデータセンターに対する投資が継続され、総床面積は着実に拡大していくと予測している。
データセンターに対する需要が堅調であるのは、事業継続対策や法規制への対応を目的に堅牢性が高く、セキュリティ対策が万全なデータセンターを求める企業が増加していること、データ量の増加を背景としたサーバー台数増加への対応や消費電力の削減を目的にサーバーをデータセンターに移行する企業が増加していること、情報システム要員の人材不足のため定型業務である運用業務をアウトソーシングする企業が増加していること、などが背景にあるという。
また、2011年度~2017年度の首都圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県)のデータセンター総床面積の年平均成長率(CAGR)は地方よりも高いが、2014 年度~2017 年度で見ると伸びは鈍化するという。これは首都圏ではデータセンターに適する土地の確保が難しくなっていることや、2020年東京オリンピックの影響で建設コストが高騰していることなどが影響しているからだという。首都圏のデータセンターには大口ユーザーである大手企業からの底堅い需要が存在するため、2018年度以降は再び首都圏の成長率が地方よりも高くなると予測している。(編集担当:慶尾六郎)