2014年秋のロサンゼルス・オートショーに出品されたメルセデス・ベンツのフラッグシップサルーン、「メルセデス・マイバッハSクラス」が正式発表された。マイバッハといえば、1990年代にプロトタイプが世界で公開され、2002年から12年までの10年間ダイムラーの最高級ブランドとして車両価格6000万円以上の高額サルーンとして存在していたことが知られている。日本でも通算で500台ほど売れたはずだ。
そもそもマイバッハとは、ダイムラー創世期にゴットリープ・ダイムラーと共に開発を行っていた技術者の名(姓)だ。そのマイバッハはダイムラーを辞した後に自らの名を冠した会社を興し、1920~30年代にはメルセデスと肩を並べる高級車を製造していた。1960年代にダイムラー・ベンツの傘下に入った。
先に述べたように今世紀に入ってからダイムラーの最高級ブランドとして復活したが、ダイムラーの目論みどおりには売れず、2012年に生産を中止した。今回の新型は、メルセデスのサブブランドとして、その名が復活したものである。
専用ボディを持っていた先代「マイバッハ57/62」に対して、「メルセデス・マイバッハSクラス」は、現行「Sクラス」がベースとなるモデルだ。しかしながら「メルセデス・マイバッハ Sクラス」のエクステリアは、メルセデス・ベンツのフラッグシップである「Sクラス」のロングホイールベース版よりさらに200mm長いホイールベースが与えられ、ボディサイドのラインがパワーとダイナミズムを強調している。
リアのドア長さが66mm狭められ、Cピラーに三角窓が移設された。結果、ドア開口部より後方にリアシートが位置するシートレイアウトとなり、外からの視線を遮り、心地よい後席居住性を確保した。Cピラーには、丸みのある三角形にふたつのMをあしらった“Maybach Manufaktur”(マイバッハ・マヌファクトゥーア)のエンブレムが装着される。
インテリアは、最高の素材をメルセデスのクラフトマンシップで仕上げたウッドトリムが美しいカーブを描きながらリアシートを取り囲む。「メルセデス・マイバッハ Sクラス」は、後席同乗者に“五感で感じる極上の快適性“と “未来へつながる知能”を備えたショーファーカーといえる。
ステレオカメラで前方の路面状況を解析し、そこを通過する前にサスペンションの減衰力を調整する「マジックボディコントロール」や、同じくステレオカメラとミリ波レーダーから得られたデータによってアクセル、ブレーキ、ステアリングを自動でアシストする「レーダーセーフティパッケージ」といった、メルセデスが誇る最新の安全運転支援システムはフル搭載するのは言うまでもない。
マイバッハ Sクラスのラインアップは最高出力530ps(390kW)、最大トルク84.6kg.m(830Nm)を発生する6リッターV12気筒ツインターボエンジンと7速オートマティック(AT)を組み合わせた「メルセデス・マイバッハS600」と、最高出力455ps(335kW)、最大トルク71.3kg.m(700Nm)を発生する4.7リッターV8気筒・直噴ツインターボエンジンと9ATを積む「メルセデス・マイバッハS550」の2種類となる。価格は「メルセデス・マイバッハS600」が2600万円、「メルセデス・マイバッハS550」が2200万円で、先代に比べて半額以下のバーゲンプライス?である。どちらもステアリング位置は左だけ。(編集担当:吉田恒)