マイナンバー制度は2015年10月には個人向けの番号配布が開始され、2016年1月には運用が開始される。しかし、2015年1月の時点でも、マイナンバー制度の内容を理解している割合5割程度に留まっているとしている、という調査結果が発表された。
ノークリサーチは2015年1月、国内中堅・中小企業を対象とした「マイナンバー制度への対応」に関する調査を実施し、分析結果を発表した。それによると、中堅・中小企業における同制度に対する認知は依然として十分でなく、引き続きの啓蒙が必要な状況となっているという。
年商5億円未満の企業層では「必要なシステム投資や社内の教育/啓蒙は行うが、最小限に留める」の回答割合が相対的に高く、マイナンバー制度対応を契機にIT活用の更なる活性化を提案することは難しいと考えられるとしている。一方、年商300億円以上~500億円未満の企業層では「個人情報保護やセキュリティ対策の機会と捉え、システム導入/更新を積極的に進める」「個人情報保護やセキュリティ対策の機会と捉え、社内の教育/啓蒙を積極的に進める」という回答割合も2割弱存在している。
年商5億円以上~300億円未満の企業層は両者の中間的な傾向を示しているという。マイナンバー制度対応は全ての中堅・中小企業が対象となるIT導入/更新の一つの契機でもある。IT関連の販社/SIerとしては、ユーザ企業が個人情報保護やセキュリティ対策を見直すきっかけとなるような前向きな付加価値の提案を行うことが望ましいとしている。
しかし、マイナンバー制度への対応はユーザ企業にとって新たな収益を生むものではないため、「人事/給与システムの更新需要ニーズしか見込めない」という可能性も十分考えられるという。年商5億円以上~50億円未満の企業層に対し、マイナンバー制度対応に向けて予定している具体的な取り組みを尋ねた。その結果、「既存の人事/給与システムを変更する」が18.3%と最も多く、「マイナンバー制度対応=人事/給与システムの更新」と考えるユーザ企業が多いことが確認できるとしている。
マイナンバー制度は導入はすでに決まったこと。その是非はともかく前向きな取り組みが必要ではあろう。(編集担当:慶尾六郎)