メルケル首相来日。日独はどこまで固く握手ができるか

2015年03月15日 13:32

 ドイツのメルケル首相が3月9日、10日に2008年、洞爺湖で行われたサミット以来7年ぶりに来日した。当初の来日目的として最近のウクライナ情勢や日本と欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)の交渉推、日本との関係などについて話し合いが論点になると予想されていた。

 しかしメルケル首相の発言で一番取りざたされたのは日韓の歴史問題によるものだった。内容は、ドイツは過去と向き合った(だが、日本は問題を解決できていない)と日本を牽制する形となった。その一方隣国が寛容な態度を示したため、ドイツは隣国との和解が可能になったともいい、この発言は韓国に対しての牽制となっている。この発言に対し韓国外務省報道官は、まず日本の過去に対する反省がなければいけないと発言している。

 メルケル首相の凄いところは両者が寄り添っていけないことを示唆している点である。一見どちらをも敵に回しそうな発言であるが、これ以上精錬で説得力のある日韓の歴史解決に向けた発言をした大統領、首相はいないのではないか。日本と同盟国であり、隣国に被害を与えた敗戦国の発言は重く、学ぶべき点は多い。

 メルケル首相はアメリカの雑誌タイムが04年から毎年発表している(最初は1999年)世界で最も影響力のある100人で5回も選ばれている。しかも落ちたものの他2回はノミネートされていた。つまりそれだけ世界に影響を与え続けている首相だということがうかがえる。

 メルケル首相来日に伴い日独の友好関係に目が行きがちだったが、そこに至るまでにもっと先にやらなければいけないことに気づかされた形になった。このまま日韓が今までの歴史を理由に、お互いが歩み寄らず平行線をたどっていったとしたら、ここまでお膳立てしてもらったドイツおよびEUのお笑い種になる可能性もある。

 歴史問題を作ってしまったのは先人達であり現在の政治家ではない。それは承知の上で真摯に向き合い謝罪すれば世界が日本を見る目を変えるかもしれない。謝罪をした後に何がついてくるか、そういう狡猾的なことを考慮した上で謝罪してしまえば、それは決して安いものではないのではないだろうか。(編集担当:久保田雄城)