医学部新設、医師の73.5%が「反対」、なぜ?

2015年03月17日 14:52

 医学部の定員増や新設の動きが相次いでいる。復興庁・文部科学省・厚生労働省は13年12月、「東北地方における医学部設置認可に関する基本方針」をまとめた。幾度かの審査会を経て、「東北医科薬科大学」が選ばれ、16年春の開設に向けて準備を進めている。今後は「国家戦略特区」を利用した新設構想なども浮上している。

 こうした医学部の定員増、新設について、現役医師の73.5%が「反対」していることが、医師専門サイト「メドピア」の調査で分かった。調査は今年2月、同サイトに登録する医師を対象に、ウェブアンケートで実施。4014人から回答があった。「医学部新設に賛成ですか? それとも反対ですか?」と聞いたところ、「どちらかといえば反対」が46%、「大いに反対」が27.5%と、全体の73.5%が反対した。賛成派(「どちらかといえば賛成」21%、「大いに賛成」5.5%)は26.5%にとどまった。

 反対する医師からは、「人口はこれから減ってくるので医師は過剰になるのが目に見えている(30代)」、「すでに1500人以上の定員を増えやしており、15個以上新設大学をつくったのと同じ状況です。人口減時代になり、医師過剰状態となると思われます。歯科医師、薬剤師と同じ状況です。絶対にやめた方がよい(50代)」など、将来の人口減を見越した意見が目立った。政府は2008年度から医学部入学定員を年々増やしており、15年度の定員は9134人。入学定員を抑制していた2009年度と比べると1509人多く、すでに15校分の増員を行っているという見方もできる。  中には、「医師不足はない。勤務医師不足と言ってほしい。開業医はどんどん増加している。大学を設置すれば、また勤務医がひっぺがしにあう。イコール病院破壊である。開業制限法でも作ってください(60代)」という、悲痛な意見もあった。「絶対数の問題ではなく、診療科や地域の偏在、医師の過重負担が問題でしょう(50代)」と、分野や地域による医師不足を指摘する声も多い。

 一方、賛成する医師からは、「実際余っているのは都心部だけ。田舎はホントに医師が足りない。地方勤務を希望してくれる医師が少ないのは実情だが、母数が増えれば多少変わるのではと期待する(40代)」との声もあった。やみくもに定員を増やせばよいわけではなく、地方の医師不足や、増加傾向にある女性医師のワークライフバランスの問題など、課題は山積している。(編集担当:北条かや)