【今週の展望】「まつりの後」はテクニカルの「時を待て」

2015年04月12日 20:38

 東証が発表した年度替わりの週、3月30日~4月3日の投資主体別株式売買動向を見ると、個人はその前週の1429億円の買い越しから2929億円の大幅売り越しに転じ、信託銀行も508億円の買い越しから1193億円の売り越しに転じた。さすがの年金資金も買いに緩急の差はつける。ところが海外投資家はその前週の1190億円の買い越しから4453億円の大幅な買い越しに転じ、その差は5643億円。これが2万円を目指した上値追いの主役になった。特に注意したいのが9日と10日に計3回あった「2万円チャレンジ」の時間帯で、先物主導で日経平均がグングン上昇して2万円に迫ってもTOPIXの上昇が取り残され気味だったり、値上がり銘柄よりも値下がり銘柄のほうが多いという現象もみられた。大型株、主力株、特に9日に決算を発表したファーストリテイリング<9983>、ファナック<6954>、ソフトバンク<9984>の「日経平均寄与度御三家」や、京セラ<6971>やエーザイ<4523>など「準御三家クラス」の値がさ銘柄に買いが集中した時もあった。そこに「早く2万円にタッチして区切りをつけたい」という〃意志〃が感じられた。区切りだったから、「つくられた2万円」からは数分間で滑り落ちてしまった。

 そうではなく今度、大型株も中型株も小型株もみなプラスで、値上がり銘柄のほうが値下がり銘柄より多く、TOPIXと足並みを揃えて日経平均が満を持して2万円にタッチし、それを超えた時こそ、2万円は本当の意味での「通過点」になる。そのきっかけは海外の株高や為替の円安や経済指標の改善のような好材料かもしれないが、基礎的な条件としてテクニカル指標がこなれるまで「時を待つ」ことも必要になるだろう。

 今週もし、2万円より下のレンジで時間が経過したとしても、高値圏のもみあいで週末までに移動平均、特に25日移動平均線が上昇すれば乖離率は低下し、ボリンジャーバンドは「-1σ~+1σ」のニュートラルゾーンに収まる。10日に「買われすぎ」を示していたRCIもストキャスティクスも低下するだろう。そして日足一目均衡表の「雲」は今週、上限は18683円、下限は17964円まで上昇が予定され、来週はさらに上昇する。そうしたテクニカルの条件が整ってから2万円を超えても遅くない。むしろ勢いがついてITバブル期最高値20833円(2000年4月12日)や、その前のピーク20910円(1997年6月26日)に早く接近できるかもしれない。

 2万円台に完全に乗せ、さらに上を狙うために今週は英気を養う週だと考えれば、2万円に再タッチしても長続きはせず、高々20050円とみる。そこには2万円の心理的節目と、10日朝に形成された20008円の「まぼろしのSQ値」というダブルの抵抗線も横たわっていて、上に抜きにくい。一方、下値のサポートラインは前週9日、10日は19900円付近だったが、「まつりの後」の今週は買いのエネルギーが低下してそれを大きく割り込む日もあると考え、5日移動平均線の19734円、ボリンジャーバンドの25日線+1σの19731円あたりを下支えの目安としたい。

 ということで、今週の日経平均終値の変動レンジは19750~20050円とみる。テクニカル指標が追いついて機が熟するまで「時を待て」と言っても、時間は事態を好転させることもあれば、悪化させてしまう残酷な側面もあわせ持っている。誰も、時間がもたらす運命から逃れることはできない。「ある者らは、時間から逃れて永遠を得るために時計を屋根から投じた/すると次の十年間、毎日彼らの頭上に目覚まし時計が落ちてきた」(アレン・ギンズバーグ『吠える』)(編集担当:寺尾淳)