矢野経済研究所が公表した「理美容市場に関する調査結果」によると、14年度の理美容市場は、前年度比98.5%の2兆1758億円(事業者売上高ベース)だった。調査対象は、理美容チェーン、理美容商社・卸、理美容化粧品メーカーなど。美容市場は、節約意識の高まりに伴う来店サイクルの長期化や、集客目的で割引クーポンを導入するサロンが増えたことによる価格下落などから、減少傾向が続いている。昨年4月の消費増税もマイナス要因だ。
男女ともに、美容室、理容室を訪れる回数は減っている。リクルートライフスタイルの「美容センサス2014年上期」によると、美容室などを1回以上利用する人に聞いた「年間利用回数」の平均は、女性が4.93回。前年の5.07回から、5回を切った。男性も5.92回で、前年の6.03回から減少している。
売上がより苦しいのは「理容室」だ。矢野経済研究所のデータでは、理容市場が前年度比98.1%の6473億円、美容市場が前年度比98.7%の1兆5285億円となっている。理容室の市場規模は、美容室(ヘアサロン)の4割程度だ。背景には若い男性の「理容室離れ」や、来店サイクルの長期化、1000円カットなど「低価格サロン」の台頭がある。都市部では、質の高いサービスを提供する「高級理容室」が注目されているが、全体としては客単価の下落傾向に歯止めがかかっていない。
美容室も厳しい。14年度の減少が大きかったのは「パーマネント」市場で、前年度比 97.6%の3730億円だった。先に引用したリクルートライフスタイルの調査では、女性の「パーマ+カット」「カラー+カット」の利用は減少傾向にある。一方で「カット単品のみ」の利用は増えており、節約意識の高まりが伺える。特に、中~高価格帯のサロンでは、集客率の伸び悩みや来店サイクルの長期化が問題となっている。新規顧客開拓のため、割引クーポンを導入するサロンも多く、価格は低下傾向だ。現状を打破しようと、カットやカラーだけでなく、ヘッドスパやアイメイクなどを提案して客単価アップを狙う動きが、業界全体で進んでいる。(編集担当:北条かや)