資生堂は3月18日、超高齢社会において重要な課題となっている健康寿命の延伸に、独自に開発した「化粧サービス」(化粧療法プログラム)が有効性を発揮することを確認したと発表した。これは、経済産業省が「健康寿命延伸産業」の基盤整備を目的として推進する「平成26年度健康寿命延伸産業創出推進事業」に、13年から展開する「資生堂ライフクオリティー事業」のノウハウが採択され、検証されたもの。
このたび、経済産業省が推進する「平成26 年度健康寿命延伸産業創出推進事業」に採択され、「美容的ヘルスケアサービス提供による介護費用削減効果の検証」を、地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センターと共同で実施した(検証実施期間:2014年6月~2015年2月)。検証の結果、健康度自己評価、抑うつ傾向の改善効果が確認され、「化粧サービス」が、健康寿命延伸のための新たなヘルスケアサービスとして有効であること、また介護費用削減効果が期待できることを確認した。
「化粧サービス」(化粧療法プログラム)とは、専門スタッフと一緒に、参加者自身が化粧を楽しみながら行う教室形式のプログラムである。今回の検証事業では、高齢者施設や医療機関の協力のもと、介護福祉施設入所高齢者、回復期リハビリテーション病院入院高齢者、急性期病院外来通院高齢者、地域在住高齢者を対象にこの「化粧サービス」を4施設(5会場)でそれぞれ24回ずつ、合計120回開催し404人が参加した。
2014年7月~12月の6 カ月間調査を実施し、「化粧サービス」の参加と自宅や施設での毎日のスキンケアを実施したのち、参加者自身が健康感を4段階で評価し前後の変化を比較した結果、健康と感じる参加者(非常に健康だと思う、まあ健康な方だと思う)が増加し、不健康に感じる参加者(あまり健康でない、健康でない)が減少した。なお、1段階以上改善した参加者は全体の 22.2%になり、健康度が統計的に有意に改善していた。
また、様々な原因で気分が落ち込むなどの、心理状態を表す抑うつ傾向を改善させる効果が得られた。これらの結果により、「化粧サービス」で提供された内容が、健康寿命の延伸に有効であることが明らかになったという。
資生堂では今回得られた検証結果を、「化粧サービス」のさらなる質の向上や、高齢期の化粧の価値開発などに活用し、今後も介護事業所をはじめとする医療機関や自治体などと連携し、様々な高齢者の健康寿命延伸につながるヘルスケアサービスとして、「化粧サービス」を全国で積極的に推進していくとしている。(編集担当:慶尾六郎)