九州電力川内原発1号機、2号機の再稼働差し止めを求めて住民らが行った仮処分申し立てを、鹿児島地裁は22日、認めないとした。鹿児島、熊本、宮崎の12人が求めていた。
鹿児島地裁の前田郁勝裁判長は原子力規制委員会の新規制基準について「不合理な点はない」とし、さきに関西電力高浜原発3号機、4号機の再稼働差し止め仮処分申請を認め、新規制基準に「緩やかすぎ、合理性を欠く」とした福井地裁とはま逆の判断を下した。
今回は原発の耐震設計の基準となる基準地震動の適否や桜島を含む姶良カルデラなどの火砕流を伴う巨大噴火の可能性、周辺自治体策定の避難計画の妥当性などが争点になったが、鹿児島地裁は「新規制基準に従って、各種調査を実施した上で、火山事象により本件原子炉施設が受ける影響を評価していることが認められ、その評価は火山学の知見により一定程度裏付けられているといえる」などとした。
九州電力は「当社勝訴」とコメントを発表。「今回の決定は川内原子力発電所の安全性は確保されているとの当社のこれまでの主張が裁判所に認められたもの」とし「妥当な決定をいただいたと考えている」とした。
再稼働に強く反対してきた社会民主党は今回の鹿児島地裁の決定に「司法の良識ある判断を期待していただけに極めて残念」との談話を発表。「国の新しい規制基準や川内原発が基準に適合しているかどうかの判断について不合理な点は認められないとしたが、新規制基準自体、東京電力福島第一原発の事故原因の究明もないままの不十分な基準にすぎず、規制委員会も自ら認めているように『安全性を担保するものではない』。九州電力は川内原発1号機について、7月の再稼働を目指しているが再稼動は認められない」と再稼働阻止へ全力で取り組むとしている。(編集担当:森高龍二)