【今週の展望】3月のSQ値19225円が再び意識されるか?

2015年05月06日 20:34

 海外の経済指標は、8日のアメリカの雇用統計はもちろんのこと、5日のISM非製造業景況感指数も重要。7日の英国の総選挙も、もし保守党から労働党に政権が交代すれば影響は決して小さくない。

 4日はアメリカの3月の製造業受注、5日はアメリカの3月の貿易収支、4月のISM非製造業景況感指数、6日はユーロ圏の3月の小売売上高、アメリカの4月のADP雇用リポート、1~3月期の労働生産性指数速報値、7日はアメリカの3月の消費者信用残高、8日は中国の4月の貿易収支、アメリカの4月の雇用統計(非農業部門雇用者数、失業率)、3月の卸売在庫、卸売売上高、9日は中国の4月の消費者物価指数(CPI)、生産者物価指数(PPI)が、それぞれ発表される。

 5日にオーストラリア準備銀行理事会が開かれ、政策金利が発表される。6日にFRBのイエレン議長が講演を行う。7日は英国の総選挙の投開票日。8日と11日にイングランド銀行(BOE)の金融政策委員会が開かれ、政策金利が発表される。

 アメリカ主要企業の決算は、5日はスプリント、ケロッグ、ウォルト・ディズニー、エスティローダー、6日はテスラ・モーターズ、トリップアドバイザー、7日はプライスライン・グループ、エヌビディアが発表する予定。

 4月30日の日銀会合の結果は「金融政策現状維持」。首相外遊中に日銀が突っ走るとは考えにくかったが、「1日だけの会合」「展望レポートが出る会合」は過去に追加緩和を発表したことがあり、2%の物価上昇率目標の行方とからめて憶測を呼んで、前々週は金融関連セクターが大幅高になり2万円乗せの主役になった。いわゆる「イベントドリブン」で、勝手に期待されて買われ、勝手に失望されて売られた。

 30日の日経平均先物は日銀会合の結果発表後に一時19500円を割り込み、日経平均終値は538円安で今年最大の下げ幅を記録した。それが前週のハイライト。翌5月1日は終盤までは続落かと思われたが、最後の粘りで逆転プラスで終了。それでもTOPIXはマイナスで、やはり先物主導の動きだった。

 この週末2日間は、本来なら今週5日、6日にあたる鬼門「SQ週の火曜、水曜」が、休場のため3日前にずれたと考えればわかりやすい。その鬼門の日に活発に行われるのは「裁定解消売り」である。5月のSQはマイナーSQ(オプションSQ)で指数オプション、指数ミニ先物が対象だが、先物市場にも影響がないわけではない。ましてや裁定買い残は大きく積み上がっていて、需給状況は決して良くはない。

 東証が1日に発表した4月第4週(4月20~24日)の投資部門別株式売買動向によると、外国人は4週連続買い越しで買越額は7079億円と、昨年11月第1週以来の高水準だった。これが前々週の2万円台再浮上の原動力で、24日の先物の裁定買い残は3.5兆円まで達していた。4月3日以来、3.4兆円以上の高いレベルをキープしている。

 2週間前にもここでとりあげたデータだが、昨年後半以降、裁定買い残が3.5~3.6兆円で天井を打つと、その翌週以降、1ヵ月あまりで1兆円を超える減少をみせ、それに伴って日経平均も1000円前後下落するパターンを2回繰り返した。昨年9月26日から10月24日の間は3.6兆円から2.4兆円に減り、日経平均は938円下落。昨年12月5日から今年1月16日の間は3.5兆円から2.3兆円に減り、日経平均は1056円下落した。今回、裁定買い残は4月24日の3.5兆円がピークになって、30日、5月1日に裁定解消売りで大きく減少したとすると、この先、5月下旬までさらに減少が続く間に、日経平均は約1000円安い19000円前後の水準まで落ち込むという予測が成り立つ。

 もちろん、下げれば年金資金や日銀のETF買いに支えられ、海外の年金資金も入ったといわれ「状況は以前とは変わった」とも言えるが、前週も「先物主導」という言葉が何度も聞かれたから、需給面の裁定買い残の積み上がりという要素は決して無視できないだろう。さらに、連休明けの5月前半は3月期決算発表が第2のピークを迎え、今期業績見通しの数字がアナリストコンセンサスの「市場予測」より上か下かで株価が大きく左右されるという、独特のムードが漂っている。