厚生省、武田薬品に業務改善命令。誇大広告で初

2015年06月16日 07:53

 車であれパソコンであれ、何か物を購入する時には、それを販売する側が提供する広告を参考にする人も多いかと思う。そのため広告は、その物の性能や効果を適切に表したものでなければいけないし、「適切に表したものだとう」という購入する側の信頼感により成り立っている。しかし12日、大手製薬会社である武田薬品工業<4502>が販売する高血圧治療薬「ブロプレス」について、会社が臨床研究で確認されている以上の効果があるように宣伝し「医薬品医療機器法」が禁じる誇大広告にあたるとして、厚生労働省は同社に対して業務改善命令を出した。こうして誇大広告により行政処分が行われたのは初めてのこと。

 厚生労働省によれば、武田薬品工業は「ブロプレス」と他社の製品との病気発症率を比べたグラフを広告に掲載していたものの、統計的な有意差がないにもかかわらず「ブロプレス」を長期間服用した方が脳卒中の発症率が低下するとの表現を用いていた。これに対して「医薬品医療機器法」が禁じる誇大広告にあたるとして、厚生労働省は同社に対して広告の社内審査に外部の有識者を含めるなどの改善計画を、1ヶ月以内に提出するよう求めた。これを受けて、武田薬品工業は、「「処分を受けたことを真摯に反省し、心よりおわび申し上げます。さらに高い信頼の獲得・維持に向けて全社一丸となって努力してまいります」とのコメントを発表をしている。

 「ブロプレス」は1999年に発売された高血圧治療薬で、01年より京都大学などの研究チームで他社の製品との効果を比較する臨床試験が行われ、06年10月に「脳卒中などの発症抑制効果に差はなかった」という結果を示すグラフが学会で公表された。

 にもかかわらず、武田薬品工業は同月、医学誌に掲載した広告で公表されたグラフの曲線とはずれたものを使用。そのグラフの曲線では、「ブロプレス」を長期間服用すると、服用当初は脳卒中などを発症する確率は他社の製品より高いものの、その後は他社を下回るようになっていた。(編集担当:滝川幸平)