同盟国として米のリバランスをどう補完 元防相

2015年06月23日 07:53

 森本敏元防衛大臣(拓殖大特任教授)は22日、衆院安保特別委員会で参考人出席し、「政策論の観点から重要と思われる点を指摘したい」としたうえで、安保法案を成立させなければならない事務的根拠と具体的な根拠(安全保障環境の変化)をあげ、安保法制整備の必要を指摘した。

 また、「同盟国としてアメリカのリバランス(アジア・太平洋での軍配備再編成)をどのように補完し、この地域の抑止と対応能力をつけることができるかが、安保法制のかかえている最も重要な命題ではないか」と提起した。

 森本元防衛大臣は事務的根拠について「昨年7月1日の閣議決定(集団的自衛権の行使を容認するため憲法解釈を変更した)と今年4月の日米ガイドラインの変更を実際に実行するためには(安保法案を採決し)法的根拠をつくる必要がある」とし「それが今の時期になった」とした。

 また具体的根拠(背景)については「ここ8年から9年、安全保障環境が急速に変化し、科学技術の変化や武力行使する主体が必ずしも国家ではない、予期できない、目的もはっきりしないなど、国際情勢の変化がある」とした。

 森本元防衛大臣は北朝鮮と中国の動向を例にあげ、北朝鮮については「2006年以降、北朝鮮は3回にわたり核実験を、数回にわたり弾道ミサイル実験をしている。いつ我が国の領域に近づくかわからない。安全保障というのは最悪の事態に備えた予防措置と抑止力をきかせること」と政策論として、安保法制見直しの必要を語った。

 また日米ガイドラインの変更は日本の政策変更とセットになっているとした。また米国に日本防衛の義務があるのに、日本に米国防衛の義務がない日米安保条約の片務性を解消するには憲法改正の必要があるが、現行憲法下でできるだけ片務性を少なくするために米国に対して、日本としてできることを新ガイドラインで決めたという見解を示した。

 日米安保条約では日本に米国防衛の義務がない。かわりに、米国は日本だけのためでなく、極東、国際の平和・安全維持のために米国の陸海空軍が日本で施設や区域を使うことを認めており、この点ですでにギブ&テイクとの見方ができるのだが、米国はいざというとき命をかけて日本を守らなければならないのに、日本は命をかけることはないとの受け止めが米側にあり、日本に対して応分の負担を求める傾向がある。(編集担当:森高龍二)