ホンダ、タカタ問題により最終利益を下方修正

2015年06月29日 07:33

 タカタ製の欠陥エアバッグ問題の影響により、ホンダ<7267>がすでに4月に発表していた2015年3月期連結決算(米国会計基準)を下方修正した。これは、タカタが5月に米道路交通安全局(NHTSA)とリコール(回収・無料修理)の拡大に合意したことを受けて、リコールに関する新たな費用を同連結決算に計上したためである。最終利益は4月の発表時点では前年同期8.9%ダウンの5227億円と発表されていたが、これが前年同期比14.1%ダウンの4930億円となった。

 タカタが5月に米道路交通安全局とリコールの拡大に合意したことなどにより、関連費用が448億円増加。米国の会計基準に沿って、15年3月期にまでさかのぼって修正を行った。その結果、15年3月期連結決算の最終利益は297億円下方修正され前年同期比14.1%ダウンの4930億円、本業のもうけを示す営業利益は448億円下方修正され、前年同期比19.1%ダウンの6068億円となった。

 欠陥エアバッグのリコール費用はいったんホンダ側が支払うものの、不具合の原因に応じてタカタと負担する割合を決定するという。それにより、同問題がタカタの業績におよぼす影響が増加する可能性もある。ホンダはタカタの欠陥エアバッグ問題以外にも、主力車である「フィット」の複数回にわたるリコールにより新型車の投入が遅れ、最終利益が3年ぶりに減益となるなどの打撃を受けている。そのため、同社では商品の品質の向上が急務となっている。

 タカタの欠陥エアバッグ問題は、現時点ですでに長期化しているが、これにより不利益を被るのはメーカーだけではない。ドライバー側も「安全面」という部分ですでに大きな不利益を被っている。自動車メーカーにとってこうしたリコールはある種「頻繁に発生してしまうもの」なのかもしれないが、ドライバー側にとっては命の危険に関わるものである以上、「頻繁に発生してしまうもの」と片付けることはできない。自動車産業に関わる者として、タカタはもちろんのこと、ホンダも含めて一層の安全面向上を目指す必要があるのではないだろうか。(編集担当:滝川幸平)