「生活苦しい」国民の62.4% アベノミクス効果感じられず

2015年07月07日 09:56

 国民の6割以上が、「生活が苦しい」と感じている――こんな結果が、厚生労働省が先日まとめた「平成26年国民生活基礎調査」で明らかになった。世帯の生活意識を尋ねた結果、「苦しい」(「大変苦しい」と「やや苦しい」)の合計は62.4%。「普通」は34%、「ややゆとりがある」は3.2%、「大変ゆとりがある」はわずか0.4%だった。

 長期的な推移をみると、「苦しい」の割合は年々、上昇傾向にある。2004年には23%だったが、2014年の結果では「苦しい」が29.7%と、約3世帯に1世帯が生活の困窮を感じている。貧困層と富裕層の格差が大きい高齢者世帯が増加したことも関係している可能性はあるが、そうともいいきれない。調査によると、「苦しい」の割合は「高齢者世帯」が58.8%だったのに対し、「児童のいる世帯」では67.4%と、子育て世帯の方が8.8ポイント高いからだ。アベノミクス効果で一部企業の業績が改善し、株高や外国人観光客による消費の増加など明るいニュースもあるが、未だに「トリクルダウン」は起きていない。

 「国民生活基礎調査」は、厚労省が昭和61(1986)年から、3年ごとに大規模調査を実施しているもの。中間の各年は簡易調査が行われる。平成26(2014)年は中間年だったため、全国の世帯と世帯員を対象として、基本的な事項を尋ねる調査が実施された。

 平成25(2013)年の「1世帯あたり所得金額」は、全世帯の平均が「528万9千円」で、前年比1.5%のマイナスだった。「高齢者世帯」は300万5千円(前年比-2.8%)、「児童のいる世帯」では696万3千円(前年比+3.4%)となっている。子育て世帯は前の年より所得が平均3.4%増えているにもかかわらず、高齢者世帯よりも「生活が苦しい」とする割合が高い。

 また、平均所得金額(528万9千円)以下で暮らす世帯の割合も、「高齢者世帯」では89.9%、「児童のいる世帯」では37.3%となっており、高齢者層の方が多い。それでも子育て世帯の生活感が高齢層よりも「苦しい」のは、値上がりが続く食費や、高い学費などの負担が重くのしかかるからだろう。この4月から、政府の「子ども・子育て支援新制度」が始まった。消費増税分を社会保障に充てるというが、子育て世帯への支援はまだまだ、高齢世帯へのそれと比べ質量ともに少ないのが現状だ。(編集担当:北条かや)